題名: | 逢入京使 |
作者: | 岑參 |
故園東望路漫漫,雙袖龍鍾淚不乾。馬上相逢無紙筆,憑君傳語報平安。 | |
英譯: |
To my home in the east the way is long;
My sleeves, my feeble hands can't stay my tears.
Journeying on horseback there is neither pen nor paper;
Give them then the message: I am safe.
It is such a long way home to the east, and my sleeves Tremble: I am heavy with years and wet with tears. Seeing you on horseback in this wilderness, without pen or paper, I beg you to tell my people at home: I am safe and sound. |
日譯: |
故郷(こきょう)のわが家(いえ)のある東方(とうほう)を眺(なが)めやると、過(す)ぎて来(き)た旅(たび)の道(みち)のりは、限(かぎ)りなくはてしない。両方(りょうほう)の衣(ころも)のそでにとめどなく落(お)ちる涙(なみだ)は、乾(かわ)くひまもない。
馬(うま)に乗(の)ったまま出会(であ)ったので、手紙(てがみ)を書(か)くべき紙(かみ)や筆(ふで)もない。あなたに伝言(でんごん)をたのんで、ただ無事(ぶじ)であることを家族(かぞく)に知(し)らせよう。
故郷のわが家のある東方を眺めやると、過ぎて来た旅の道のりは、限りなくはてしない。両方の衣のそでにとめどなく落ちる涙は、乾くひまもない。 馬に乗ったまま出会ったので、手紙を書くべき紙や筆もない。あなたに伝言をたのんで、ただ無事であることを家族に知らせよう。 故園(こえん) 東(ひがし)のかた望(のぞ)めば、路(みち)漫漫(まんまん)たり 双袖竜鍾(そうしゅうりょうしょう)として 淚(なみだ)乾(かわ)かず 馬上(ばじょう)に相逢(あいあい)て 紙筆(しひつ)無(な)し 君(きみ)に憑(よ)り 伝語(でんご)して 平安(へいあん)を報(ほう)ぜん 故園 東のかた望めば、路漫漫たり 双袖竜鍾として 淚乾かず 馬上に相逢て 紙筆無し 君に憑り 伝語して 平安を報ぜん ふるさとを東に望めば路はるぱる 双のたもとは涙にぬれて乾く問もなし 馬上君に行き逢うて紙筆もなければ ただわが無事をふるさとに伝えてよ 故園(こえん) 東(ひがし)に望めば 路漫漫(みちまんまん) 双袖(そうしゅう) 竜鍾(りゅうしょう)として 涙(なんだ)乾(かわ)かず 馬上(はじょう) 相逢(あいう)うて 紙筆(しひつ)無し 君に憑(よ)って伝語(でんご)して 平安(へいあん)を報ぜしむ 故園 東に望めば 路漫漫 双袖 竜鍾として 涙乾かず 馬上 相逢うて 紙筆無し 君に憑って伝語して 平安を報ぜしむ 故郷の方角、東を望むと、路ははるばるとつづいている。雨の袖にこぼれる涙は乾くひまもない。ちょうど都へ向かってゆく使者と途中で、出くわした。しかしお互に馬上のことで、紙もなければ筆もなく、手紙をかくわけにはいかない。さいわい君にお目にかかったので、言づてをお頼みしたい。どうぞ、こちらは無事だと知らせてく れたまえ。 故園(こえん) 東(ひがし)に望(のぞ)めば路漫漫(みちまんまん)。 雙袖(さうしう)龍鍾(りょうしじょう)として涙乾(なんだかわ)かず。 馬上(ばじゃう)相(あひ)逢(あ)うて紙筆(しひつ)無(な)し。 君(きみ)に憑(よ)って傳語(でんご)す、平安(へいあん)を報(はう)ぜよ。 故園 東に望めば路漫漫。 雙袖龍鍾として涙乾かず。 馬上相逢うて紙筆無し。 君に憑って傳語す、平安を報ぜよ。 故郷の方、東を望めば、路は、はるばるとはてしなく続いている。両袖に流れ落ちる涙は、乾く暇もない。$突然$馬の上で$君に$出会ったために、$家族のもとへ手紙を託そうにも$紙も筆もない。$そこでせめて$君に$私が$無事でいることだけを、知らせてもらうことにしよう。 故園(こえん) 東(ひがし)に望(のぞ)めば 路(みち)漫漫(まんまん) 双袖竜鍾(そうしうりょうしょう) 淚(なみだ)乾(かわ)かず 馬上(ばじゃう)に相(あ)ひ逢(あ)うて 紙筆(しひつ)無(な)し 君(きみ)に憑(よ)って伝語(でんご)して 平安(へいあん)を報(ほう)ぜん 故園 東に望めば 路漫漫 双袖竜鍾 淚乾かず 馬上に相ひ逢うて 紙筆無し 君に憑って伝語して 平安を報ぜん ふるさとを東に見やると、道ははるばると果てしなく遠い。 それを思うと悲しくなって、両の袖に涙がはらはらとこぼれ、 乾くひまもない。 馬上で出会ったのだから、手紙を書くための紙と筆の用意もない。 そこであなたに頼んで、せめて無事でいることを家族に伝えてほしいのだ。 故園(こえん)東(ひがし)に望(のぞ)めば路漫漫(みちまんまん) 双袖(そうしゅう)龍鍾(りょうししょう)として涙乾(なんだかわ)かず 馬上(ばじょう)相(あひ)逢(あ)うて紙筆(しひつ)無(な)し 君(きみ)に憑(よ)って伝語(でんご)して平安(へいあん)を報(ほう)ぜん 故園東に望めば路漫漫 双袖龍鍾として涙乾かず 馬上相逢うて紙筆無し 君に憑って伝語して平安を報ぜん 東の方にわが家を望めば、道は遠く果てしない。両袖に涙が流れ落ちて、乾くひまもないほどだ。 馬上で出会ったので、紙や筆の用意もない。どうか、私が無事でいると言伝をたのむ。 故園(こえん) 東(ひがし)に望(のぞ)めば路漫漫(みちまんまん)。 双袖(そうしゅう) 竜鍾(りゅうしょう)として涙乾(なみだかわ)かず。 馬上(ばじょう)相(あい)逢(あ)うて紙筆(しひつ)無(な)し、 君(きみ)に憑(よ)って伝語(でんご)して平安(へいあん)を報(ほう)ぜん。 故園 東に望めば路漫漫。 双袖 竜鍾として涙乾かず。 馬上相逢うて紙筆無し、 君に憑って伝語して平安を報ぜん。 |