題名: | 首春渭西郊行呈藍田張二主簿 |
作者: | 岑參 |
迥風度雨渭城西,細草新花踏作泥。秦女峰頭雪未盡,胡公阪上日初低。愁窺白髮羞微祿,悔別青山憶舊谿。聞道輞川多勝事,玉壺春酒正堪攜。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
くるくると吹きめぐる風、しっとりと過ぎてゆく雨。わたしは渭城の西を歩いている。やっと芽を出したこまかい草や、咲いたばかりの花も、人に踏まれて、混まみれになってしまう。東の藍田のあたりを眺めると、遠くに聾える秦女峯のてっぺんにまだ雪が残っている。目を南へうつすと、胡公陂のあたりには水の上に、どうやら日が傾きかけた。
どうも、ぼくは鏡をみるのがいやになってね。なぜって? 白髪を見るのがいやなのさ。こんな齡になっても、わずかばかりの祿をいただいている自分が恥ずかしいよ。いたずらに功名に志して故郷の青い山々を棄てて出て來たことが後悔されて、ややもすると、幼いころ遊んだ谷川が思い出される。それにしても君は別だよ。藍田祭縣に在任されることはまずもって幸運といわなければならない。聞くところによると、君の任地にある輞川というところはすばらしい景勝の地だということだね。今とろはさだめし心ある人々といっしょに、春の酒をなみなみとたたえた玉の壺をたずさえて行楽するにもってこいではないか。
囘風(かわいふう) 度雨(どう) 渭城(いじゃう)の西(にし)。 細草(さいさう) 新花(しんくわ) 踏(ふ)んで泥(でい)と作(な)る。 秦女峯頭(しんぢじょほうとう) 雪(ゆき)未(いま)だ盡(つ)きず、 胡公陂上(ここうはじゃう) 日(ひ)初(はじ)めて低(た)る。 白髮(はくはつ)を窺(うかが)ふを愁(うれ)へて微祿(びうろく)を羞(は)ぢ、 青山(せいざん)に別(わか)れしを悔(く)ひて舊溪(きうけい)を憶(おも)ふ。 聞(き)くならく 輞川(まうせん) 勝事(しょうじ)多(おほ)しと。 玉壺(ぎょくこ)の春酒(しゅんしゅ) 正(まさ)に携(たづさ)ふるに堪(た)へたり。 囘風 度雨 渭城の西。 細草 新花 踏んで泥と作る。 秦女峯頭 雪未だ盡きず、 胡公陂上 日初めて低る。 白髮を窺ふを愁へて微祿を羞ぢ、 青山に別れしを悔ひて舊溪を憶ふ。 聞くならく 輞川 勝事多しと。 玉壺の春酒 正に携ふるに堪へたり。 |