題名: | 登總持閣 |
作者: | 岑參 |
高閣逼諸天,登臨近日邊。晴開萬井樹,愁看五陵煙。檻外低秦嶺,牕中小渭川。蚤知清淨理,常願奉金仙。 | |
英譯: |
A shrine, whose eaves in far-off cloudland hide:
I mount, and with the sun stand side by side,
The air is clear, I see wide forests spread
And mist-crowned heights where Kings of old he dead.
Scarce o'er my threshold peeps the Southern Hill;
The Wei shrinks through my window to a rill....
O thou Pure Faith, had I but known thy scope,
The Golden God had long since been my hope!
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日譯: |
高閣(かうかく) 諸天(しょてん)に逼(せま)る。
登臨(とうりん)すれば日邊(にちへん)に近(ちか)し。
晴(は)れて開(ひら)く萬井(ばんせい)の樹(じゅ)、
愁(うれ)へ看(み)る五陵(ごりょう)の煙(けむり)。
檻外(かんぐわい) 秦嶺低(しんれいひく)く、
窓中(そうちゅう) 渭川小(ゐせんせう)なり。
早(つと)に清浄(しゃうじゃう)の理(り)を知(し)り、
常(つね)に金仙(きんせん)を奉(ほう)ぜんことを願(ねが)ふ
高閣 諸天に逼る。 登臨すれば日邊に近し。 晴れて開く萬井の樹、 愁へ看る五陵の煙。 檻外 秦嶺低く、 窓中 渭川小なり。 早に清浄の理を知り、 常に金仙を奉ぜんことを願ふ 大總持寺の閣の高いことは天にせまってそぴえ、その上に登ると太陽に近づいたような気がする。空は晴れわたって長安の萬戶をかぞえる家なみの木々は一望のもとに 展開する。さらに目を轉すると、漢代の天子の陵がある五陵のあたりは煙にかすんでいるが、尊厳無比の皇帝もついには一片の煙と化し去るほかないと思えば、なんとなくうれいにたえない感じだ。南の欄杆の外には秦嶺山脈が低くつづいており、北にあいた窓わくのなかには渭水の流れも小さくなって光っている。私は前から清らかな佛教の教理をしっていたが、このたかどのに乗ってみると、いまさらのように、いつも佛陀に仕えたいという帰依の念が深まるのをおぼえた。 |