題名: | 登古鄴城 |
作者: | 岑參 |
下馬登鄴城,城空復何見。東風吹野火,暮入飛雲殿。城隅南對望陵臺,漳水東流不復回。武帝宮中人去盡,年年春色爲誰來。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
馬(うま)を下(くだ)りて鄴城(げふじゃう)に登(のぼ)る。
城空(しろむな)しうして 復(また) 何(なに)をか見(み)ん。
東風(とうふう) 野火(やくわ)を吹(ふ)き、
幕(くれ)に入(い)る、飛雲殿(ひうんでん)。
城隈(じゃうぐう) 南(みなみ)のかた望陵臺(ぼうりょうだい)に對(たい)す。
漳水(しゃうすゐ) 東流(とうちゅう)して 復(また) 囘(かへ)らず。
武帝(ぶてい)の宮中(きゅうちゅう) 人去(ひとさ)り盡(つく)す。
年年(ねんねん)春色(しゅんしょく) 誰(た)が為(ため)にか来(きた)る。
馬を下りて鄴城に登る。 城空しうして 復 何をか見ん。 東風 野火を吹き、 幕に入る、飛雲殿。 城隈 南のかた望陵臺に對す。 漳水 東流して 復 囘らず。 武帝の宮中 人去り盡す。 年年春色 誰が為にか来る。 馬から下りて、昔の鄴城に登ってみた。がらんとして何も見るものはなかった。ただ東風が野火を吹きあおりながら、日暮れがた、昔の飛雲殿のあととおぼしいところへはいってゆく。城壁の一角に立って南の方を眺めると、ちょうと望陵臺のあとと向 かいあっている。しかし漳河の流れがかたわらを東へ東へと流れて行っているぱかり。再び帰ってくることのない過去の時代を物語っているかのようだ。武帝が遺言をして、 死後も毎月一日と十五日に宮中の妓女たちを集めて音樂を奏させたというが、もちろ ん當時のあでやかな美人たちは一人として存在していない。この荒れはてた古都にも 年々春の景色だけは昔どおりめぐってくるが、いったい誰のために春がおとずれてく るのだろうか。 |