題名: | 杜侍御送貢物戲贈 |
作者: | 張謂 |
銅柱朱崖道路難,伏波橫海舊登壇。越人自貢珊瑚樹,漢使何勞獬豸冠。疲馬山中愁日晚,孤舟江上畏春寒。由來此貨稱難得,多恐君王不忍看。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
後漢の馬援が交趾那を征討したとき、銅柱をたてて漢の極界を定めたところや、 前漢の世に眞珠が出るというので珠崖郡を置かれた海南島などは、南のはてのはてで、非常に遠くもあれば、また山と海との困難きわまる道路がつづいている。その時の時分から、この地方を鎮定するために、伏波將軍(馬援もそのひとりだが)とか橫海將軍が任命されて、邊土の經営にあたった。南越の王の趙佗が漢の初めに自發的にみどとな赤珊瑚を献上したことがある。それが長らく上林苑の積草池中に置かれた、あの有名な三本の枝のでた巨大な珊瑚樹であった。それはまことにめでたいことに相違ない。 しかし、なにも侍御史などという朝廷のいかめしいお役人がご苦労にもわさわざ使者になって貢物集めにお出かけになることはなかったろう。
長途の旅行で、馬も疲れはててしまうだろうし、それに朝廷に獻上される財寶のお守りをしている以上、淋しい山の中で日が暮れるのは、さぞど心配なことだろう。また、たった一艘の舟に乗って大川を渡るときには、春風の寒さもひとしお身にしむことだろう。むかしから容易に手にいらないといわれている、たいへんに貴重な財寶が荷作りされているということだが、老子の言葉に「得難きの貨を貴ばされば、民をして盗を為さざらしむ」とあるように、容易に手にいらないような財寶などは、聖人は貴ばないものだ。だから、あなたがわざわざそれを護衛して都へ持っておいでになっても、天子はおそらく御覧になりたくないだろうよ。
銅柱(どうちゅう) 朱崖(しゅがい) 道路(だうろ)難(かた)し。 伏波(ふくは) 横海(わうかい) 舊(もと) 壇(だん)に登(のぼ)る。 越人(えつじん)自(みづか)ら貢(こう)す 珊瑚樹(さんごじゅ)。 漢使(かんし)何(なん)ぞ勞(らう)さん 獬豸冠(かいちくわん) 疲馬(ひば) 山中日(さんちゅうひ)の晩(く)るるを愁(うれ)へ、 孤舟(こしう) 江上(かうじゃう)春(はる)の寒(さむ)きを畏(おそ)る。 由來(ゆらい)此(こ)の貨(くわ) 得(え)難(がた)しと稱(しょう)す。 多(おそ)恐らくは 君王(くんわう) 看(み)るに忍(しの)びざらん。 銅柱 朱崖 道路難し。 伏波 横海 舊 壇に登る。 越人自ら貢す 珊瑚樹。 漢使何ぞ勞さん 獬豸冠 疲馬 山中日の晩るるを愁へ、 孤舟 江上春の寒きを畏る。 由來此の貨 得難しと稱す。 多恐らくは 君王 看るに忍びざらん。 |