題名: | 寄李儋元錫 |
作者: | 韋應物 |
去年花裏逢君別,今日花開已一年。世事茫茫難自料,春愁黯黯獨成眠。身多疾病思田里,邑有流亡愧俸錢。聞道欲來相問訊,西樓望月幾廻圓。 | |
英譯: |
Sweet flowers were blooming all around when your last farewell you said,
And now the opening buds proclaim another year has fled,
Tis difficult to prophesy beyond the present day,
And the remedy for trouble is to sleep it all away.
I suffer much in body and I long for the old place,
But cannot live in pensioned idleness midst the famished race.
You say that you will visit me, that you are coming soon:
Twixt now and then how often shall I see the full-orbed moon!
Last year among the flowers I saw you off; today the buds unfolding make it a year. The world's ways—dim and distant, hard to foretell; spring griefsㅡdull and dark; I sleep alone, body full of aches and ills, remembering fields of home. Vagrants in the city ㅡ I'm ashamed to draw my pay! I hear you may be coming to visit— from west tower, how many rounding moons must I wait? Last year at the maturing of plants You leſt . Today , the sun opens them after a year . What I've done has come undone . And the future lies ghettoed in its own ingredients as spring , an opaque grief sleepwalks through me . Sickness clings to my bones ' dreams of fields and farm folk . And in this sinking land money is ghost-ridden . But there's word , you on the way back asking for me . From the window westward , the moon is almost full . Last year among the flowers I saw you off; today the buds unfolding make it a year. The world's ways— dim and distant, hard to foretell; spring griefs— dull and dark; I sleep alone, body full of ashes and ills, remembering fields of home. Vagrants in the city— I'm ashamed to draw my pay. I hear you may be coming to visit— from west tower, how many rounding moons must I wait? |
日譯: |
昨年(さくねん)、花(はな)の咲(さ)く中(なか)で君(きみ)たちと出逢(であ)ってまたそこで別(わか)れたのだったが、現在(げんざい)その昨年(さくねん)と用(よう)じ花(はな)が咲(さ)いて、また一年(いちねん)が過(す)ぎたことを知(し)った、世(よ)の中(んか)の事(こと)は、すべてぽんやりとしてつかみどころのないもので、自分(じぶん)で判断(はんだん)することは困難(こんなん)であり、春(はる)の愁(うれ)いは、もの悲(かな)しく心(こころ)の晴(は)れないままに、わたしはただひとりうとうとと眠(ねむ)ってしまうばかり。
わが身(み)は病気(びょうき)がちで故郷(こきょう)の田園(でんえん)に帰(かえ)りたく思(おも)うが、また一面(いちめん)では、わたしが長官(ちょうかん)として統治(とうち)の任(にん)にある村々(むらむら)に流民(りゅうみん)たちが出(で)たと聞(き)いては、役人(やくにん)としての俸禄(ほうろく)をいただくことが恥(は)ずかしい。伝(つた)え聞(き)くところによれば、君(きみ)たちがやって来(き)てそのわたしを訪問(ほうもん)してくれるとのこと、西(にし)の楼閣(ろうかく)に月(つき)をながめながら、その月(つき)が何回満月(なんかいまんげつ)になるまで待(ま)つことになろうか。待(ま)ち遠(どお)しい思(おも)いのつのることだ。
昨年、花の咲く中で君たちと出逢ってまたそこで別れたのだったが、現在その昨年と用じ花が咲いて、また一年が過ぎたことを知った、世の中の事は、すべてぽんやりとしてつかみどころのないもので、自分で判断することは困難であり、春の愁いは、もの悲しく心の晴れないままに、わたしはただひとりうとうとと眠ってしまうばかり。 わが身は病気がちで故郷の田園に帰りたく思うが、また一面では、わたしが長官として統治の任にある村々に流民たちが出たと聞いては、役人としての俸禄をいただくことが恥ずかしい。伝え聞くところによれば、君たちがやって来てそのわたしを訪問してくれるとのこと、西の楼閣に月をながめながら、その月が何回満月になるまで待つことになろうか。待ち遠しい思いのつのることだ。 去年花裏(きょねんかり) 君(きみ)に逢(あ)いて別(わか)れ 今日(こんにち)花(はな)開(ひら)きて 又一年(またいちねん) 世事茫茫(せいじぼうぼう)として 自(みづか)らは料(はか)り難(がた)く 春愁黯黯(しゅんしゅうあんあん)として 独(ひと)り眠(ねむ)りを成(な)す 身(み)に疾病(しつべい)多(おお)くして 田里(でんり)を思(おも)い 邑(ゆう)に流亡(りゅうぼう)有(あ)り 俸銭(ほうせん)に愧(は)づ 聞(き)くならく 来(きた)りて相(あい)問訊(もんじん)せんと欲(ほっ)すと 西楼(せいろう)に月(つき)を望(のぞ)みて 幾回(いくかい)か円(まど)かなる 去年花裏 君に逢いて別れ 今日花開きて 又一年 世事茫茫として 自らは料り難く 春愁黯黯として 独り眠りを成す 身に疾病多くして 田里を思い 邑に流亡有り 俸銭に愧づ 聞くならく 来りて相問訊せんと欲すと 西楼に月を望みて 幾回か円かなる 去年花咲くころ君達と逢って別れたが 一年経った今日また花が咲いている 世の中の事はどうなることか全く分からぬ 春の愁いに気も重く独りうとうと眠っている 病がちの身は故郷が恋しいが 邑に流亡の民が出るのは 刺史の俸祿の手前も恥ずかしい 君たちが尋ねて来るということだが この西楼に眺める月の いくたび円くなるまで待つことか 去年(きょねん) 花裏(かり) 君に逢うて別れ 今日(こんにち) 花開いて又(また)一年 世事茫茫(せいじぼうぼう) 自(みずか)ら料(はか)り難く 春愁黯黯(しゅんしゅうあんあん) 独り眠りを成(な)す 身(み)に疾病(しつべい)多くして田里(でんり)を思い 邑(ゆう)に流亡(りゅうぼう)有りて俸銭(ほうせん)に愧(は)ず 聞道(きくならく) 来たって相(あい)問訊(もんじん)せんと欲すと 西楼(せいろう)月を望んで幾回(いくかい)か円(まど)かなる 去年 花裏 君に逢うて別れ 今日 花開いて又一年 世事茫茫 自ら料り難く 春愁黯黯 独り眠りを成す 身に疾病多くして田里を思い 邑に流亡有りて俸銭に愧ず 聞道 来たって相問訊せんと欲すと 西楼月を望んで幾回か円かなる |