題名: | 早發白帝城 |
作者: | 李白 |
朝辭白帝彩雲間,千里江陵一日還。兩岸猨聲啼不盡,輕舟已過萬重山。 | |
英譯: |
IN the morning I leave Po-ti perched in the clouds.
The thousand li to Chiang-ling are compressed to a day.
Before the wailing of the apes on both banks ceases.
The light boat has left behind unending mountains.
At dawn amid coloured clouds I left White Emperor City: A thousand miles to Chiang-ling—I was there in a day! Chattering monkeys on the cliffs, no end to their bawling. So the light boat slipped past the ten thousand mountains. At dawn I left the walled city of White King, Towering among the many colored clouds; And came down stream in a day One thousand li to Chiang-ling. The screams of monkeys on either bank Had scarcely ceased echoing in my ear When my skiff had left behind it Ten thousand ranges of hills. |
日譯: |
彩雲たなびく朝の問に
白帝城をあとにして
千里距てた江陵まで
ただ一日に違ってきた
両岸に啼く猿の声が
まだ耳にやまぬうちに
わが乗る小舟は
はや万重の山を通りすぎた
朝(あした)に辞す 白帝彩雲(はくていさいうん)の間(あいだ) 千里(り)の江陵(こうりょう) 一日(じつ)にして還(かえ)る 両岸(りょうがん)の猿声(えんせい) 啼(な)いて住(や)まざるに 軽舟(けいしゅう) 已(すで)に過ぐ 万重( ばんちょう)の山 朝に辞す 白帝彩雲の間 千里の江陵 一日にして還る 両岸の猿声 啼いて住まざるに 軽舟 已に過ぐ 万重の山 早朝、美しい朝焼け雲のなかにそそりたつ白帝城に別れを告げ、千里下流のかなた、江陵にまで、わずか一日で帰りゆく。三峽地帯の両岸の絶壁に鳴き叫ぶ野猿の声、そのひびきがまだ耳について離れないうちに、激流に乗った軽やかな小舟は、いつしか幾重にも連なる山々の間を一気に通りぬけていた。 朝(あした)に辞(じ)す 彩雲(さいうん)の間(かん) 千里(せんり)の江陵(こうりょう) 一日(いちにち)にして還(かえ)る 両岸(りょうがん)の猿声(えんせい) 啼(な)いて尽(つ)きざるに 軽舟(けいしゅう)已に過(す)ぐ 万重(ばんちょう)の山(やま) 朝に辞す 彩雲の間 千里の江陵 一日にして還る 両岸の猿声 啼いて尽きざるに 軽舟已に過ぐ 万重の山 朝早く白帝城を出發したのは、あさやけ雲がまばゆく映えているときだった。ところが、千里もあるといわれる下流の江陵に、まる一日で到着した。昔の本にもあるように、 「兩岸の連山ほぼ缺けた處がなくつづいて重なる崖、たたなわる峰が天を隠し日を蔽うて、頭の上だけが開けている。正午でないと日が見えず、眞夜中でないと月が見えない。白い浪がしぶきする激湍があるかと思うと、蒼く澄んだ淵がたたえ、絶壁には無數の檉や柏が生え、そのあいだに、ところどころ瀑布がかかって流れ落ちている」ところを、つぎつぎに猿の啼きごえが聞こえ、それがつぎつぎに、あとへ、 さる あとへと飛んで行って、とどまることがない。と、聞いているあいだに、軽い小舟はすでに萬重の山々を通りすぎているのだった。 朝(あした)に辭(じ)す 白帝(はくてい) 彩雲(さいうん)の間(あひだ)。 千里(せんり)の江陵(かうりょう) 一日(いちにち)に還(かへ)る。 兩岸(りゃうがん)の猿聲(えんせい) 啼(な)いて住(とど)まらず。 輕舟(けいしう) 已(すで)に過(す)ぐ 萬重(ばんちょう)の山(やま)。 朝に辭す 白帝 彩雲の間。 千里の江陵 一日に還る。 兩岸の猿聲 啼いて住まらず。 輕舟 已に過ぐ 萬重の山。 朝早く、陽の光に 照り輝く彩雲に色どられた白帝城に別れを告げ、千里のかなた江陵の町に一日で帰ってゆく。途中、両岸に哀しげに帝く猿の声がどこまでもとぎれることなく続いたが、$その声に聞き入っている間に$わが乗る舟はすでに幾重にも重なった山の間を通り抜けていた。 朝(あした)に辞(じ)す 白帝(はくてい)彩雲(さいうん)の間(かん) 千里(せんり)の江陵(かうりょう) 一日(いちにち)にして還(かへ)る 両岸(りょうがん)の猿声(えんせい) 啼いて尽(つ)きざるに 軽舟(けいゅう)已(すで)に過(す)ぐ 万重(ばんちょう)の山(やま) 朝に辞す 白帝彩雲の間 千里の江陵 一日にして還る 両岸の猿声 啼いて尽きざるに 軽舟已に過ぐ 万重の山 朝やけ雲のたなびく白帝城に別れを告げて三峡を下り、 千里も離れた江陵の地に、たった一日で帰っていく。 その途中、両岸の猿の鳴き声が絶えまなく聞こえていたが、 私の乗った小舟はもう、いくえにも重なった山々の間を通り抜けていた。 朝(あした)に辞(じ)す 白帝(はくてい) 彩雲(さいうん)の間(かん) 千里(せんり)の江陵(こうりょう) 一日(いちにち)にして還(かえ)る 両岸(りょうがん)の猿声(えんせい) 啼(な)いて住(や)まざるに 軽舟(けいしゅう) 已(すで)に過(す)ぐ万重(ばんちょう)の山(やま) 朝に辞す 白帝 彩雲の間 千里の江陵 一日にして還る 両岸の猿声 啼いて住まざるに 軽舟 已に過ぐ万重の山 夜明けとともに朝焼け雲のかかる白帝城を後にし、千里も離れた江陵まで一日で帰ってきた。 両岸で鳴きかす猿の声がまだ耳に残っているうちに、私の乗った軽やかな舟は、幾重にもかさなる山々のあいだを、あっというまに通り過ぎていた。 朝(あした)に辞(じ)す 白帝(はくてい) 彩雲(さいうん)の間(かん)、 千里(せんり)の江陵(こうりょう) 一日(いちじつ)にして還(かえ)る。 両岸(りょうがん)の猿声(えんせい) 啼(な)いて住(や)まざるに、 軽舟(けいしゅう)已(すで)に過(す)ぐ 万重(ばんちょう)の山(やま)。 朝に辞す 白帝 彩雲の間、 千里の江陵 一日にして還る。 両岸の猿声 啼いて住まざるに、 軽舟已に過ぐ 万重の山。 |