題名: | 行路難三首 一 |
作者: | 李白 |
金樽清酒斗十千,玉盤珍羞直萬錢。停杯投筯不能食,拔劒四顧心茫然。欲渡黃河冰塞川,將登太行雪滿山。閑來垂釣碧溪上,忽復乘舟夢日邊。行路難,行路難,多岐路,今安在。長風破浪會有時,直挂雲帆濟滄海。 | |
英譯: |
IN my gold cup clear wine worth ten thousand coins a measure,
In my jade bowl delicious dainties costing ten thousand cash,
Yet I dash down the cup and throw down the chopsticks,
And am not able to eat.
I pull out my sword and gaze anxiously to the four quarters,
For my heart dreams of other things.
I wish to cross the Yellow River but the ice binds the ferry.
I wish to climb the T‘ai Hang Mountains but the snow hides the sky,
Or to sit at leisure fishing at the side of some mountain stream,
Or I would sit in a boat dreaming of sailing in the sun.
Hard is the way, hard is the way, there are many twisting roads. Which am I to take?
To ride the wind and break the waves will some day be my lot
And I shall hang out a sail of cloud to bridge the deep sea.
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日譯: |
黄金の酒だるの清酒は、、一斗が一万銭。玉の大皿の御馳走は、一万銭の値段。だが、わたしは、このような美酒も珍味も杯と箸を置いて食べることができない。剣を抜き、あたりを見回して、心はぽんやりとしているありさまだ。
なぜならば黄河を渡ろうとしても、氷が川をふさいでおり、太行山に登ろうとしても、雪が山に満ちていて、わたしの行く手をさえぎっているからだ。
のんびりと釣り糸を垂れて谷川のほとりに腰をおろしてみるが、ふと、また舟に乗りこんで、太陽のあたり天子のそば近くにまで出かけて行くことを夢みてしまうのだ。この世の行く手のなんと困難なことよ。まことに困難なことよ。
人生の分かれ道は多い。いま、自分はどこにいるのか。大風に乗じて大海の波を乗り越える時は、きっと来るにちがいない。その時こそはすかさず雲のような大きな帆を高くかかげて、青海原を渡ろうと思う。
金樽(きんそん)の清酒(せいしゅ) 斗(と)十千(じゅっせん) 玉盤(ぎょくばん)の珍羞(ちんしゅう)直(あたい)万銭(ばんせん) 杯(さかずき)を停(とど)め筋(はし)を投(とう)じて 食(く)らう能(あた)わず 剣(けん)を抜(ぬ)き四顧(しこ)して 心(こころ) 茫然(ぼうぜん)たり 黄河(こうが)を渡(わた)らんと欲(ほっ)すれば 冰(こおり)川(かわ)を塞(ふさ)ぎ 将(まさ)に太行(たいこう)に登(のぼ)らんとすれば 雪山(ゆきやま)に満(みつ) 閑来(かんらい) 釣(ちょう)を垂(た)れて渓上(けいじょう)に坐(ざ)し 忽(たちま)ち復(ま)た舟(ふね)に乗(の)って日辺(じっぺん)を夢(ゆめ)む 行路(こうろ)難(がた)し 行路(こうろ) 難(がた)し 岐路(きろ)多(おお)し 今(いま)安(いず)くにか在(あ)る 長風(ちょうふう)波(なみ)を破(やぶ)る 会(かなら)ず時(とじ)有(あ)り 直(ただ)ちに雲帆(うんぱん)を挂(か)けて 滄海(そうかい)を済(わた)らん 金樽の清酒 斗十千 玉盤の珍羞直万銭 杯を停め筋を投じて 食らう能わず 剣を抜き四顧して 心 茫然たり 黄河を渡らんと欲すれば 冰川を塞ぎ 将に太行に登らんとすれば 雪山に満 閑来 釣を垂れて渓上に坐し 忽ち復た舟に乗って日辺を夢む 行路難し 行路 難し 岐路多し 今安くにか在る 長風波を破る 会ず時有り 直ちに雲帆を挂けて 滄海を済らん |