題名: | 穆陵關北逢人歸漁陽 |
作者: | 劉長卿 |
逢君穆陵路,匹馬向桑乾。楚國蒼山古,幽州白日寒。城池百戰後,耆舊幾家殘。處處蓬蒿遍,歸人掩淚看。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
穆陵關の北で、偶然、君に出逢った。見れば、たった一人馬にまたがって桑乾河のほとりの故郷に歸るという。このあたりは古の楚の國の領分で山々がそびえたち鬱蒼と茂ってさびしいところだが、これから行かれる幽州の方は北國で白晝でもさむざむとして更にいっそうさびしいことだろう。安禄山が亂を起こしたところで、不軌の企てはついに失敗し、數年うちつづく戦爭のあとで、城や堀などもめちゃめちゃになったことだろうし、昔の顔馴染の老人たちの家も何軒のこっていることやら。戦火に燒きはらわれた町のところどころには、よもぎのような雑草がはびこっているだろう。君はそんなところへ歸って行かれたら、定めし涙なしには眺められないだろうよ。
君(きみ)に逢(あ)ふ 穆陵(ぼくりょう)の路(みち)、匹馬(ひつば) 桑乾(さうかん)に向(むか)ふ。楚國(そこく) 蒼山(さうざん)古(ふ)り、幽州(いうしう) 白日(はくじつ)寒(さむ)し。城池(じゃうち) 百戦(ひゃくせん)の後(のちゅ)、耆舊(ききう) 幾家(いくか)か残(のこ)る。處處(しょしょ) 蓬蒿(ほうこう)遍(あまね)し。歸人(きじん) 涙(なみだ)を掩(おほ)うて看(み)ん。 君に逢ふ 穆陵の路、匹馬 桑乾に向ふ。楚國 蒼山古り、幽州 白日寒し。城池 百戦の後、耆舊 幾家か残る。處處 蓬蒿遍し。歸人 涙を掩うて看ん。 |