題名: | 題破山寺後禪院 |
作者: | 常建 |
清晨入古寺,初日照高林。竹逕通幽處,禪房花木深。山光悅鳥性,潭影空人心。萬籟此都寂,但餘鐘磬音。 | |
英譯: |
At dawn I come to the convent old,
While the rising sun tips its tall trees with gold,—
As, darkly, by a winding path I reach
Dhyâna's hall, hidden midst fir and beech.
Around these hills sweet birds their pleasure take,
Man's heart as free from shadow as this lake;
Here worldly sounds are hushed, $as by a spell,$
Save for the booming of the alter bell.
At the break of day I come to an old temple, As the first rays of the sun glow on the treetops. A path in the bamboo grove leads to a quiet retreat— A meditation hall hidden behind flowering boughs. Here, mountains scenery delights the birds, And the reflections in the pond empty a man's mind. All murmurings are stilled in this presence, But for the echoes of chimes and bells. First rays of $morning$ sunlight Stream through lofty $bamboo$ groves. 00 I enter the old temple, $following the path $ 0 To where the meditation hall is hidden deep beneath the flowering trees. As mountain scenes invite the song of birds, Images in the pond empty the human mind Everything has vanished now into $the heart of$ silence, Except the sounding of bell and chime. I entered an ancient temple at the dawn, Already the early sun was shining on the forest. Through winding paths I came to this solitary place, There where the cells of monks were heaped high with flowers. The mountain colours have made the birds sing: The shadows in the pool empty the hearts of men. The ten thousand sounds of the world are hushed in this spell. All is still, but the resounding bells. |
日譯: |
清(きよ)らかに晴(は)れた早朝(そうちょう)に、古(ふる)い寺(てら)に入(はい)って行(い)くと、登(のぼ)り始(はじ)めた太陽(たいよう)が、高(たか)い林(はやし)を照(て)らしている。
曲(ま)がりくねった小道(こみち)は、奥深(おくぶか)くもの静(しず)かなところへと続(つづ)いており、僧坊(そうぼう)には、花(はな)の咲(さ)いている木(き)が深(ふか)く生(は)い茂(しげ)っている。朝日(あさひ)を受(う)けた山(やま)のかがやきは、鳥(とり)の心(こころ)を喜(よろこ)ばせているかのようで、深(ふか)いふちの水(みず)の色(いろ)は、俗人(ぞくにん)であるわたしの心(こころ)を清澄(せいちょう)な虚心(きょしん)の境地(きょうち)に導(みちび)いてくれる。
天地間(てんちかん)のあらゆる物音(ものおと)が、いまここですべてひっそりと静(しず)まる中(なか)で、ただ、寺(てら)で打(う)ち鳴(な)らすかねと打(う)ち石(いし)のひびきが聞(き)こえてくるだけである。
清らかに晴れた早朝に、古い寺に入って行くと、登り始めた太陽が、高い林を照らしている。 曲がりくねった小道は、奥深くもの静かなところへと続いており、僧坊には、花の咲いている木が深く生い茂っている。朝日を受けた山のかがやきは、鳥の心を喜ばせているかのようで、深いふちの水の色は、俗人であるわたしの心を清澄な虚心の境地に導いてくれる。 天地間のあらゆる物音が、いまここですべてひっそりと静まる中で、ただ、寺で打ち鳴らすかねと打ち石のひびきが聞こえてくるだけである。 清晨(せいしん)古寺(こじ)に入(い)れば、初日(しょじつ)高林(こうりん)を照(て)らす 曲径(きょくけい)幽処(ゆうしょ)に通(つう)じ、禅房(ぜんぼう)花木(かぼく)深(ふか)し 山光(さんこう)鳥性(ちょうせい)を悅(よろこ)ばしめ、潭影(たんえい)人心(じんしん)を空(むな)しくす 万籟(ばんらい)此(ここ)に皆寂(みなせき)として、惟(た)だ鐘磬(しゅうけい)の音(おと)を聞(き)くのみ 清晨古寺に入れば、初日高林を照らす 曲径幽処に通じ、禅房花木深し 山光鳥性を悅ばしめ、潭影人心を空しくす 万籟此に皆寂として、惟だ鐘磬の音を聞くのみ すがすがしいこの朝 古い山寺にはいってゆくと 今昇った太陽が 高い林の梢を照らしている 曲がりくねった小径は 奥深いところに通じ 禅房のあたりには 花咲く木々が茂っている 朝日に映える山の明るさに 鳥は悦ばしくさえずり 澄み切った淵の色は 人のこころを洗い清める ひっそりと物音一つせぬ中に 鐘磬の音ばかりが聞こえてくる 清晨(せいしん) 古寺(こじ)に入る 初日(しょじつ) 高林(こうりん)を照らす 曲径(きょくけい) 幽処(ゆうしょ)に通じ 禅房(ぜんぼう) 花木(かぼく)深し 山光(さんこう) 鳥性(ちょうせい)を悦(よろこ)ばし 潭影(たんえい) 人心を空(むな)しゅうす 万籁(ばんらい)此(ここ)に俱(とも)に寂(せき)たり 惟(ただ)聞く 鐘磐(しょうけい)の音(おと) 清晨 古寺に入る 初日 高林を照らす 曲径 幽処に通じ 禅房 花木深し 山光 鳥性を悦ばし 潭影 人心を空しゅうす 万籁此に俱に寂たり 惟聞く 鐘磐の音 すがすがしい朝、古い寺へはいって行くと、今出たばかりの日が高い林のこずえを 照らしはじめた。曲りくねった小道が奥深い静かな場所へ通じている。それをたどって行くと、禪房が一つ建っていて、花の咲いた木々にこんもりとおおわれて、いかに ぜんぼう も奥ゆかしい。明るい山々の色は鳥の性を喜ばすものと見え、かなたこなたにうれしそうに飛びまわっている。澄みきった淵にたたえた鏡のような水は人の心から俗念のけがれを洗い清めてくれるようだ。ちょうど今、すべてのもの音がひっそりとして閑寂に歸している。すると、ただおちついた鐘の聲にまじって清らかな磐の音がひびいてきた。 清晨(せいしん) 古寺(こじ)に入(い)れば、初日(しょじつ) 高林(かうりん)を照(て)らす。曲徑(きょくけい) 幽處(いうしょ)に通(つう)じ、禪房(ぜんばう) 花木(くわぼく)深(ふか)し。山光(さんくわう) 鳥性(てうせい)を悦(よろこ)ばしめ、潭影(たんえい) 人心(じんしん)を空(むな)しうす。萬籟(ばんらい) 此(ここ)に倶(とも)に寂(じゃく)たり。惟(ただ) 鐘磐(しょうけい)の音(おと)を聞くのみ。 清晨 古寺に入れば、初日 高林を照らす。曲徑 幽處に通じ、禪房 花木深し。山光 鳥性を悦ばしめ、潭影 人心を空しうす。萬籟 此に倶に寂たり。惟 鐘磐の音を聞くのみ。 すがすがしい朝、古びた山寺に入ってみると、 朝日が高い林のこずえを照らしている。 曲がりくねった小道はひそやかな場所に通じ、 僧房は花さく木々の生い茂った中にある。 山にきらめく日光に鳥たちはその性のまま遊びたわむれ、 深い淵のたたえる光に人の俗念はさっぱり洗い落とされる。 あらゆる世間の物音はここではすっかり鳴りをひそめ、 聞こえるのは寺で打ち鳴らす鐘と磐の清らな響きのみ。 清晨(せいしん) 古寺(こじ)に入(い)れば 初日(しひつ) 高林(こうりん)を照(て)らす 曲径(きょくけい) 幽処(ゆうしょ)に通(つう)じ 禪房(ぜんぼう) 花木(かぼく)深(ふか)し 山光(さんこう) 鳥性(ちょうせい)を悦(よろこ)ばしめ 潭影(たんえい) 人心(じんしん)を空(むな)しうす 万籟(ばんらい) 此(こ)こに都(すべ)て寂(せき)たり 惟(た)だ聞(き)く 鐘磬(しょうけい)の音(おと) 清晨 古寺に入れば 初日 高林を照らす 曲径 幽処に通じ 禪房 花木深し 山光 鳥性を悦ばしめ 潭影 人心を空しうす 万籟 此こに都て寂たり 惟だ聞く 鐘磬の音 明け方に古寺を訪れると、 昇りそめた朝日が、そびえ立つ樹木を照らしている。 曲がりくねった小道を抜ければ、そこは奥まった静かな所。 僧房のまわりには花を咲かせた木々。 山の光の輝きに鳥たちは喜び、 深い淵の色は人の心に空の境地を悟らせる。 すべての物音が静まりかえり、 ただ鐘と磐とが聞こえるだけ。 清晨(せいしん) 古寺(こじ)に入(い)れば 初日(しょじつ) 高林(こうりん)を照(て)らす 曲径(きょくけい) 幽処(ゆうしょ)に通(つう)じ 禪房(ぜんぼう) 花木(かぼく)深(ふか)し 山光(さんこう) 鳥性(ちょうせい)を悦(よろこ)ばしめ 潭影(たんえい) 人心(じんしん)を空(むな)しうす 万籟(ばんらい) 此(ここ)に皆寂(みなじゃく)として 惟(た)だ鐘磬(しょうけい)の音(おと)を聞(き)くのみ 清晨 古寺に入れば 初日 高林を照らす 曲径 幽処に通じ 禪房 花木深し 山光 鳥性を悦ばしめ 潭影 人心を空しうす 万籟 此に皆寂として 惟だ鐘磬の音を聞くのみ 明け方に古寺を訪れると、 昇りそめた朝日が、そびえ立つ樹木を照らしている。 曲がりくねった小道を抜ければ、そこは奥まった静かな所。 僧房のまわりには花を咲かせた木々。 山の光の輝きに鳥たちは喜び、 深い淵の色は人の心に空の境地を悟らせる。 すべての物音が静まりかえり、 ただ鐘と磐とが聞こえるだけ。 清晨(せいしん) 古寺(こじ)に入(い)れば 初日(しじつ) 高林(こうりん)を照(て)らす 曲径(きょくけい) 幽処(ゆうしょ)に通(つう)じ 禪房(ぜんぼう) 花木(かぼく)深(ふか)し 山光(さんこう) 鳥性(ちょうせい)を悦(よろこ)ばしめ 潭影(たんえい) 人心(じんしん)を空(むな)しうす 万籟(ばんらい) 此(こ)こに皆(みな)寂(じゃく)として 惟(た)だ鐘磬(しょうけい)の音(おと)を聞(き)くのみ 清晨 古寺に入れば 初日 高林を照らす 曲径 幽処に通じ 禪房 花木深し 山光 鳥性を悦ばしめ 潭影 人心を空しうす 万籟 此こに皆寂として 惟だ鐘磬の音を聞くのみ |