題名: | 西宮春怨 |
作者: | 王昌齡 |
西宮夜靜百花香,欲捲珠簾春恨長。斜抱雲和深見月,朦朧樹色隱昭陽。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
西の御殿では夜ともなれば静まりかえって、ただ百花がさきみだれ、そのかおりが空氣に濃くただようている。それで朱の繁をまきあげようとしたが、春のうらみのかぎりなく、それも途中でよしてしまった。ななめに雲和の琵琶をだきかかえ、それも掻き鳴らすというのではなく、深く月を見あげれば、おぼろおぼろに月光をあびた木かげがこんもりと昭陽殿のあたりをこめている。
西宮(せいきゅう) 夜靜(よるしづか)にして百花香(ひゃくわかんば)し。 朱簾(しゅれん)を捲(ま)かんと欲(ほっ)して春恨(しゅんこん)長(なが)し。 斜(なな)めに雲和(うんくわ)を抱(いだ)いて深(ふか)く月(つき)を見(み)る。 朧朧(ろうろう)たる樹色(じゅしよく) 昭陽(せうやう)に隱(いん)たり 西宮 夜靜にして百花香し。 朱簾を捲かんと欲して春恨長し。 斜めに雲和を抱いて深く月を見る。 朧朧たる樹色 昭陽に隱たり この西宮には天子のおいでもなく、夜は一しおもの静かで、いろいろの花の香りがただよっている。その香りに誘われて珠簾をまきあげ、庭の景色を眺めようとはしたものの、盡きせぬ春の悲しみにとざされて、それをまきあげるたまだれのもものうい。うさはらしに曲をかなでようかと雲和の箏を斜めにかかえて簾の中からしみじみと月に見入ると、おぼことろにかすんだ木立の繋みが、昭陽の御殿を包んではっきりとは見せぬ。そこにはあの趙飛燕が天子の寵愛をほしいままにしていると思えば、羨ましいやら悔しいやら。 西宮(せいきゅう)夜(よる)靜(しづか)にして百花香(くわkんば)し、珠簾(しゅれん))を捲(ま)かんと欲(ほつ)して春(しゅん)恨(こん)長(なが)し。斜(ななめ)に雲和(うんくわ)を抱(いだ)いて深(ふか)く月(つき)を見(み)る。朦朧(もうろう)たる樹色(じゅしょく)昭陽(せうよう)隱(いん)たり。 西宮夜靜にして百花香し、珠簾を捲かんと欲して春恨長し。斜に雲和を抱いて深く月を見る。朦朧たる樹色昭陽隱たり。 $天子の訪れも絶えた$この西宮では、夜も静かに更けてゆき、 数知れぬ花々の芳香が(部屋の中にまで)ただよってくる。$ふと$珠廉を捲きあげようとして、春のもの悲しい思いに、いつまでも心は深く閉ざされたまま。斜めに雲和のことを抱きながら、珠藤ごしに見るともなく月を見れば、$月光に照らされて$おぼろにうかぶ樹木が、あの昭陽殿のあたりをさえぎっている。 西宮(せいきゅう) 夜靜(よるしづ)かにして 百花香(ひゃくわかんば)し 朱簾(しゅれん)を捲(ま)かんと欲(ほっ)して 春恨(しゅんこん)長(なが)し 斜(なな)めに雲和(うんわ)を抱(いだ)きて 深(ふか)く月(つき)を見(み)れば 朦朧(もうろう)たる樹色(じゅしょく) 昭陽(せうやう)を隱(かく)す 西宮 夜靜かにして 百花香し 朱簾を捲かんと欲して 春恨長し 斜めに雲和を抱きて 深く月を見れば 朦朧たる樹色 昭陽を隱す |