題名: | 行經華陰 |
作者: | 崔顥 |
岧嶤太華俯咸京,天外三峰削不成。武帝祠前雲欲散,仙人掌上雨初晴。河山北枕秦關險,驛樹西連漢畤平。借問路傍名利客,無如此處學長生。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
高(たか)くそびえる華山(かざん)は、昔(むかし)の咸陽(かんよう)今(いま)の長安(ちょうあん)の都(みやこ)を見下(みお)ろしているかのようであり、大空(おおぞら)のかなたにそびえる三(み)つの高峰(たかみね)は、人力(じんりょく)によっては、いかに削(けず)っても削(けず)っても完成(かんせい)することのない神(かみ)のなせるわざのようにきり立(た)って見(み)える。
漢(かん)の武帝(ぶてい)が建(た)てた巨霊(きょれい)のほこらの前(まえ)には、雲(くも)が散(ち)って行(い)こうとしており、華山(かざん)の東峰(ひがしみね)の仙人掌(せんにんしょうじょう)の上(うえ)では、雨(あめ)が今(いま)ちょうど晴(は)れ上(あ)がったばかりである。
黄河(こうが)や華山(かざん)は、秦(きん)の地(ち)に入(はい)る函谷関にまで迫(せま)ってけわしく続(つづ)いており、街道(かいどう)は、西方(せいほう)に向(む)かって漢代(かんだい)に作(つく)られた祭壇(さいだん)にまで続(つづ)いて平(たい)らかである。
試(こころ)みにたずねよう。路傍(ろぼう)に名誉(めいよ)や利益(りえき)のみ追(お)い求(もと)める旅人(たびびと)たちよ、神仙(しんせん)ゆかりのこの土地(とち)において、不老長生(ふろうちょうせい)の術(じゅつ)を学(まな)び取(と)る以上(いじょう)のことがどうしてあろうかと。
高くそびえる華山は、昔の咸陽今の長安の都を見下ろしているかのようであり、大空のかなたにそびえる三つの高峰は、人力によっては、いかに削っても削っても完成することのない神のなせるわざのようにきり立って見える。 漢の武帝が建てた巨霊のほこらの前には、雲が散って行こうとしており、華山の東峰の仙人掌の上では、雨が今ちょうど晴れ上がったばかりである。 黄河や華山は、秦の地に入る函谷関にまで迫ってけわしく続いており、街道は、西方に向かって漢代に作られた祭壇にまで続いて平らかである。 試みにたずねよう。路傍に名誉や利益のみ追い求める旅人たちよ、神仙ゆかりのこの土地において、不老長生の術を学び取る以上のことがどうしてあろうかと。 岩嶢(ちょうぎょう)たる太華(たいか) 咸京(かんけい)を俯(ふ)し 天外(てんがい)の三峰(さんぽう) 削(けず)れども成(な)らず 武帝祠前(ぶていしぜん) 雲(くも)散(ち)らんと欲(ほっ)し 仙人掌上(せんにんしょうじょう) 雨(あめ)初(はじ)めて晴(は)る 河山(かざん)は北(きた)の秦関(しんかん)に枕(のぞ)みて険(かわ)しく 駅路(えきろ)は西(にし)のかた漢畤(かんじ)に連(つら)なりて平(たひ)らかなり 借問(しゃもん)す 路旁名利(ろぼうめいり)の客(かく)に 何(なん)ぞ 此(こ)の地(ち)に長生(ちょうせい)を学(まな)ぶに如(し)かんやと 岩嶢たる太華 咸京を俯し 天外の三峰 削れども成らず 武帝祠前 雲散らんと欲し 仙人掌上 雨初めて晴る 河山は北の秦関に枕みて険しく 駅路は西のかた漢畤に連なりて平らかなり 借問す 路旁名利の客に 何ぞ 此の地に長生を学ぶに如かんやと 高く峻しい華山は 咸京を見降ろし 天に聳える三つの峰は 鬼神ならでは削り成せぬ 武帝の祠のあたり 雲はようやく散り 仙人拳の降の上 空もやや晴れてきた 黄河と華山は北の方 函谷関の険にのぞみ 駅路は平らかに 漢の祭天の壇につづく 試みに問う 旅人よ 名利を追っていそごうより いっそこの山に入って 仙道を修めた方がいいのではないか 岩嶢(ちょうぎょう)たる太華(たいか) 咸京(かんけい)をに俯(ふ)す 天外(てんがい)の三峰(さんぽう) 削(けず)れども成らず 武帝(ぶてい)の祠前(しぜん) 雲(くも)散ぜんと欲(ほっ)し 仙人掌上(せんにんしょうじょう) 雨(あめ)初めて晴(は)る 河山(かざん) 北(きた) 秦関(しんかん)に枕(のぞ)んて険(けん)に 駅路(えきろ) 西(にし) 漢畤(かんじ)に連(つら)なって平(たい)らかなり 借問(しゃもん)す 路旁名利(ろぼうめいり)の客 何如(いかん)ぞ 此(こ)の処(ところ)長生(ちょうせい)を学(まな)ぶに 岩嶢たる太華 咸京をに俯す 天外の三峰 削れども成らず 武帝の祠前 雲散ぜんと欲し 仙人掌上 雨初めて晴る 河山 北 秦関に枕んて険に 駅路 西 漢畤に連なって平らかなり 借問す 路旁名利の客 何如ぞ 此の処長生を学ぶに 高く高くそびえたつ太華山は長安の都を遙に見おろしている。天のうえにつきでている三つの峯は削ぎたったようで、人力で切りとっても、あああさやかにはできまい。 いにしえ漢の武帝が山神巨靈を祭った祠のまえで雲が今きれぎれになりかけて、でっかい仙掌崖のうえに雨がやっと晴れたようだ。 北の方角には、この華山の山脈と黄河の流れが潼關を枕にしたようなかたちで険しくつらなっているし、そのなかを坦々たる官道がひとすじに西にむかって走り、漢代二十五柱の天帝をまつった祭壇のあるかたへ、そして都の方角へ通じている。見れば、車や馬や輿や歩行の人々が、あとからあとから往來して絶え間がない。ちょっとお尋ねしたいが、みんな要するに名譽や地位を求めて奔走し、富や権勢にあこがれて苦心している連中ばかりと思うが、どうだ、この昔から仙人の道場として曲緒の深い、この神聖な靈山にはいって不老長生の術を學んではどうかね。 岧嶤(てうげう)たる太華(たいくわ) 咸京(かんけい)に俯す。 天外(てんぐわい)の三峯(さんぽう) 削(けづ)れども成(な)らす。 武帝祠前(ぶていしぜん) 雲散(くもさん)ぜんと欲(ほっ)す。 仙人掌上(せんにんしゃうじゃう)雨(あめ)初(はじ)めて晴(は)る。 河山(かざん) 北(きた)のかた秦關(しんくわん)に枕(まくら)して險(けな)しく、 驛路(えきろ)西(にし)のかた漢時(かんじ)に運(つら)なって平(たひら)かなり。 借問(しゃもん)す 路傍名利(ろばうめいり)の客(かく)、 此(こ)の處(ところ)にて長生(ちゃうせい)を學(まな)ぶに如(し)くは無(な)し。 岧嶤たる太華 咸京に俯す。 天外の三峯 削れども成らす。 武帝祠前 雲散ぜんと欲す。 仙人掌上雨初めて晴る。 河山 北のかた秦關に枕して險しく、 驛路西のかた漢時に運なって平かなり。 借問す 路傍名利の客、 此の處にて長生を學ぶに如くは無し。 |