題名: | 黃鶴樓 |
作者: | 崔顥 |
昔人已乘白雲去, 此地空餘黃鶴樓。 黃鶴一去不復返, 白雲千載空悠悠。 晴川歷歷漢陽樹, 春草萋萋鸚鵡洲。 日暮鄉關何處是, 煙波江上使人愁。 | |
英譯: |
Long ago the ancient one 000 departed $on the Yellow Crane$;
$His$ 00 tower's all that's left.
00 What's gone will never come again:
For a thousand years, white clouds stretch endlessly across an
empty sky.
Across the sunlit river, clearly seen are Hangyang's trees,
And Parrot Island's teeming, $fragrant$ 0 grasses
The sun is setting, but what can I call home?
The river's mists and billows make my heart forlorn.
Here a mortal once sailed up to heaven on a crane, And the Yellow-Crane Kiosque will for ever remain; But the bird flew away and will come back no more, Though the white clouds are there as the white clouds of yore. Away to the east lie fair forests of trees, From the flowers on the west comes $(a scent-laden breeze)$, Yet my eyes daily turn to their far-away home, Beyond the broad River, its waves, and its foam. "Here a mortal once sailed up to heaven on a crane, And the Yellow-Crane Kiosque, will for ever remain; But the bird flew away and will come back no more, Though the white clouds are there as the white clouds of yore. Away to the east lie fair forests of trees, From the flowers on the west comes a scent-laden breeze, Yet my eyes daily turn to their far-away home, Beyond the broad River, its waves, and its foam." Where long ago a yellow crane bore a sage to heaven, Nothing is left now but the Yellow Crane Terrace. The yellow crane never revisited earth, And white clouds are flying without him for ever. ... Every tree in Han-yang becomes clear in the water, And Parrot Island is a nest of sweet grasses; But I look toward home, and twilight grows dark With a mist of grief on the river waves. The sage of old has flown away upon a Yellow Crane, And left its Tower alone to mark where mortals saw him last. The Yellow Crane once flown away—it never comes again. Long years have past—yet white and ghast the empty clouds remain. Mid winding groves of Hanyang's trees the stream pellucid flows. On Parrot Isle the fragrant grass in wild luxuriance grows. My village from my gazes the dying sunbeams part. The river hid the mist ammid calls shadows o'er my heart. Here a mortal once sailed up to heaven on a crane, And the Yellow-Crane Kiosque will for ever remain; But the bird flew away and will come back no more, Though the white clouds are there as the white clouds of yore. Away to the east lie fair forests of trees, From the flowers on the west comes $(a scent-laden breeze)$, Yet my eyes daily turn to their far-away home, Beyond the broad River, its waves, and its foam. The sage on yellow crane was gone amid clouds white. To what avail is Yellow Crane Tower left here? Once gone, the yellow crane will ne'er on earth alight, Only white clouds still float in vain from year to year. By sun-lit river trees can be count'd one by one; On Parrot Islet sweet green grass grows fast and thick. Where is my native land beyond the setting sun? The mist-veiled waves of River Han make me home-sick. Gone was the sage riding a yellow crane: The Yellow Crane Tower is all that remained. Never did the yellow crane return: For a thousand years, white clouds waited in vain. So vivid are the Yangtze and the trees of Hanyang in the sun; So lush the sweet grass on the Parrots Domain. Where's my hometown, now dusk is near? On this misty river, sorrows reign. <Formatted Translation> Gone was the sage riding a yellow crane: The Yellow Crane Tower is all that remained. Never did the yellow crane return: For a thousand years, white clouds waited in vain. So vivid are the Yangtze and the trees of Hanyang in the sun; So lush the sweet grass on the Parrots Domain. Where's my hometown, now dusk is near? On this misty river, sorrows reign. <End Formatted Translation |
日譯: |
その昔、かの仙人$道士$は、白雲に乗って飛び去り、この地には、ゆかりの黄鶴楼だけが空しく残されている。かの$仙人が跨った$黄色い鶴も飛び去ったきり、もはや返らず、白雲だけが千年もの間、$下界の変遷も知らぬげに$のんびりと$大空高く$流れ続ける。$高い楼上から眺めやれば$晴れわたった長江の対岸には、漢陽城の立ち並ぶ樹々が、くっきりと連なって見え、春の草が江中の鸚鵡洲に青々と生い茂って心を傷める。やがて迫りくる夕閣のなか、なつかしさのつのるわが故郷は、どの方角にあるのであろうか。長江の水面は、いちめんに波だち煙がたちこめて(視界がきかず)、わが心を深い悲しみにさそうのだ。
昔人(せきじん) 已(すで)に白雲(はくうん)に乗(の)って去(さ)り 此(こ)の地(ち) 空(むな)しく余(あま)す 黄鶴楼(こうかくろう) 黄鶴(こうかく)一(ひと)たび去(さ)って 復(ま)た返(かえ)らず 白雲千載(はくうんせんざい) 空(むな)しく悠悠(ゆうゆう) 晴川(せいせん)歴歴(れされき)たり 漢陽(かんよう)の樹(き) 春草(しゅんそう)萋萋(せいせい)たり 鸚鵡洲(おうむしゅう) 日暮(にちぼ) 郷関(きょうかん) 何(いず)れの処(ところ)か是(こ)れなる 煙波(えんぱ) 江上(こうじょう) 人(ひと)をして愁(うれ)えしむ 昔人 已に白雲に乗って去り 此の地 空しく余す 黄鶴楼 黄鶴一たび去って 復た返らず 白雲千載 空しく悠悠 晴川歴歴たり 漢陽の樹 春草萋萋たり 鸚鵡洲 日暮 郷関 何れの処か是れなる 煙波 江上 人をして愁えしむ むかしの人は、とっくに黄色い鶴に乗って飛んで行った。 この土地に残っているのは、黄色い鶴に因んだ黄鶴樓という名の建物ばかり。黄色い鶴は飛び去ったまま、もう歸ってはこない。しかし千年の歳月が流れた今でも、あいかわらず、當時の白い雲だけは、はるばると遠い空を、ゆったり漂うている。 晴れわたった水面のむこう岸には、漢陽の木々がありありとならんで見え、長江のなかにつきでた鸚鵡州にはかぐわしい草がやわらかく生い茂っている。 日が暮れかかって、ダ靄にけぶる波のかなた、わが故郷はどの方角であろうか。蒼茫とはてしなくつづく長江!そのほとりに立って眺めていると、無限の郷愁に胸がふさがってくる。 昔人(せきじん) 已(すで)に黄鶴(くわうかく)に乗(じょう)じて去(さ)る。 此(こ)の地(ち) 空(むな)しく餘(あま)す 黄鶴楼(くわうかくろう)。 黄鶴(くわうかく)一(ひと)たび去(さ)って、復(また) 返(かへ)らず、 白雲千載(はくうんせんざい) 空(むな)しく悠悠(いういう)。 晴川歴歴(せいせんれきれき)たり漢陽(かんやう)の樹(じゅ)。 芳草萋萋(ほうそうせいせい)たり鸚鵡洲(おうむしう) 日暮(にちぼ) 郷關(ちゃうくわん) 何(いづ)れの處(ところ)か是(ぜ)なる。 煙波(えんぱ) 江上(かうじゃう) 人(ひと)をして愁(うれ)へしむ。 昔人 已に黄鶴に乗じて去る。 此の地 空しく餘す 黄鶴楼。 黄鶴一たび去って、復 返らず、 白雲千載 空しく悠悠。 晴川歴歴たり漢陽の樹。 芳草萋萋たり鸚鵡洲 日暮 郷關 何れの處か是なる。 煙波 江上 人をして愁へしむ。 昔、かの仙人は、白雲に乗ってすでに飛び去り、この地には、$その伝説にちなむ$黄鶴楼が空しく残されているだけだ。 黄鶴は一たび去ってもうそれきり返らず、白雲は千年もの間、空しく遠くかなたまで流れつづけている。 晴れわたった川の向うに、漠陽の木々がはっきりと見える。美しい草々が鴨鵡洲に生き生きと茂っている。 この夕闇の中で$望郷の思いがつのる$、わが故郷はどのあたり になるのであろうか。川波にモヤのたちこめた長江のながめは、私を深い悲しみにおとしいれるのである。 昔人(せきじん) 已(すで)に白雲(はくうん)に乗(じょう)じて去(さ)り 此(こ)の地(ち) 空(むな)しく余(あま)す黄鶴楼(くわうかくろう) 黄鶴(くわうかく) 一(ひと)たび去(さ)って 復(ま)た返(かへ)らず 白雲千載(はくうんせんざい) 空(むな)しく悠悠(いういう) 晴川(せいせん)歴歴(れされき)たり 漢陽(かんやう)の樹(き) 芳草(はうそう)萋萋(せいせい)たり 鸚鵡洲(おうむしう) 日暮(にちぼ) 郷関(きゃうくわん) 何(いづ)れの処(ところ)か是(こ)れなる 煙波(えんぱ)江上(かうじゃう) 人(ひと)をして愁(うれ)へしむ 昔人 已に白雲に乗じて去り 此の地 空しく余す黄鶴楼 黄鶴 一たび去って 復た返らず 白雲千載 空しく悠悠 晴川歴歴たり 漢陽の樹 芳草萋萋たり 鸚鵡洲 日暮 郷関 何れの処か是れなる 煙波江上 人をして愁へしむ 昔の伝説の中の仙人は黄色い鶴に乗って去ってしまい、 今、この地には、その伝説を伝える黄鶴楼だけがとり残されたようにあるばかり。 黄鶴は仙人を乗せて、一たび去ったらもう返って来ることはない。 ただ白雲だけが千年の昔も変わらぬ姿で、はるかな大空にポッカリ浮かんでいる。 晴れわたった揚子江の向こう岸には、くっきりとし漢陽の街の木々が見える。 揚子江の中洲にはかぐわしい花の咲く草がおい茂っている。 あそこは後漢の文人禰衡にちなむ鸚鵡洲。 昔をしのぶうちにもやがてたそがれて、ふと我が故郷は、と見やれば、 川面に夕靄がたちこめ、望郷のうれいは胸をひたす。 昔人(せきじん)已(すで)に黄鶴(こうかく)に乗(の)りて去(さ)り 此(こ)の地(ち)空(むな)しく余(あま)す黄鶴楼(こうかくろう) 黄鶴(こうかく)一(ひと)たび去(さ)って復(ま)た返(かえ)らず 白雲千載(はくうんせんざい)空(むな)しく悠悠(ゆうゆう) 晴川歴歴(せいせんれきれき)たり漢陽(かんよう)の樹(じゅ) 芳草萋萋(ほうそうせいせい)たり鸚鵡洲(おうむしゅう) 日暮(にちぼ)郷關(じょうかん) 何(いず)れの処(ところ)か是(これ)なる 煙波(えんぱ)江上(こうじょう) 人(ひと)をして愁(うれ)えしむ 昔人已に黄鶴に乗りて去り 此の地空しく余す黄鶴楼 黄鶴一たび去って復た返らず 白雲千載空しく悠悠 晴川歴歴たり漢陽の樹 芳草萋萋たり鸚鵡洲 日暮郷關 何れの処か是なる 煙波江上 人をして愁えしむ 昔の伝説の中の仙人は黄色い鶴に乗って去ってしまい、 今、この地には、その伝説を伝える黄鶴楼だけがとり残されたようにあるばかり。 黄鶴は仙人を乗せて、たび去ったらもう返って来ることはない。 ただ白雲だけが千年の昔も変わらぬ姿で、はるかな大空にポッカリ浮かんでいる。 晴れわたった揚子江の向こう岸には、くっきりとし漢陽の街の木々が見える。 揚子江の中洲にはかぐわしい花の咲く草がおい茂っている。 あそこは後漢の文人禰衡にちなむ鸚鵡洲。 昔をしのぶうちにもやがてたそがれて、ふと我が故郷は、と見やれば、 川面に夕靄がたちこめ、望郷のうれいは胸をひたす。 昔人(せきじん)已(すで)に黄鶴(こうかく)に乗(の)りて去(さ)り 此(こ)の地(ち)空(むな)しく余(あま)す黄鶴楼(こうかくろう) 黄鶴(くわうかく)一(ひと)たび去(さ)って復(ま)た返(かえ)らず 白雲千載(はくうんせんざい)空(むな)しく悠悠(ゆうゆう) 晴川歴歴(せいせんれきれき)たり漢陽(かんやう)の樹(じゅ) 芳草萋萋(ほうそうせいせい)たり鸚鵡洲(おうむしゅう) 日暮(にちぼ)郷關(きょうかん) 何(いず)れの処(ところ)か是(これ)なる 煙波(えんぱ)江上(こうじょう) 人(ひと)をして愁(うれ)えしむ 昔人已に黄鶴に乗りて去り 此の地空しく余す黄鶴楼 黄鶴一たび去って復た返らず 白雲千載空しく悠悠 晴川歴歴たり漢陽の樹 芳草萋萋たり鸚鵡洲 日暮郷關 何れの処か是なる 煙波江上 人をして愁えしむ 昔の仙人はすでに白雲に乗って飛び去り、この地には空しく黄鶴楼だけが残された。黄鶴は飛び去ったきり、もう二度と帰ってこない。白雲だけが千年後の今も、昔のままゆったりと流れていく。 晴れわたった川向こうの漢陽の町には緑の木々がくっきりと見え、鸚鵡洲には春の草が青々と生い茂っている。夕暮れが迫り、わが故郷はどのあたりかと目をこらせば、靄のかかった川の眺めが、いっそう郷愁をかきたてる。 昔人(せきじん) 已(すで)に白雲(はくうん)に乗(じょう)って去(さ)り、 此(こ)の地(ち)空(むな)しく余(あま)す黄鶴楼(こうかくろう)。 黄鶴(こうかく)一(ひと)たび去(さ)って復(ま)た返(かえ)らず、 白雲千載(はくうんせんざい) 空(むな)しく悠悠(ゆうゆう)。 晴川(せいせん)歴歴(れされき)たり 漢陽(かんよう)の樹(じゅ)、 芳草(しゅんそう)萋萋(せいせい)たり 鸚鵡洲(おうむしゅう)。 日暮(にちぼ) 郷関(きょうかん) 何(いず)れの処(ところ)か是(こ)れなる、 煙波(えんぱ) 江上(こうじょう) 人(ひと)をして愁(うれ)えしむ。 昔人 已に白雲に乗って去り、 此の地空しく余す黄鶴楼。 黄鶴一たび去って復た返らず、 白雲千載 空しく悠悠。 晴川歴歴たり 漢陽の樹、 芳草萋萋たり 鸚鵡洲。 日暮 郷関 何れの処か是れなる、 煙波 江上 人をして愁えしむ。 |