題名: | 過香積寺 |
作者: | 王維 |
不知香積寺,數里入雲峰。古木無人逕,深山何處鐘。泉聲咽危石,日色冷青松。薄暮空潭曲,安禪制毒龍。 | |
英譯: |
I didn't know where the temple was,
pushing mile on mile among cloudy peaks;
old trees, peopleless paths,
deep mountains, somewhere a bell.
Brook voices choke over craggy boulders,
sun rays turn cold in the green pines.
At dusk by the bend of a deserted pond,
a monk in meditation, taming poison dragons.
I didn't know where the temple was, pushing mile $(on mile)$ among cloudy peaks; old trees, peopleless paths, deep mountains, somewhere a bell. Brook voices choke over craggy boulders, sun rays turn cold in the green pines. At dusk by the bend of a deserted pond. a monk in meditation,taming poison dragons. Ignorant of the way to the Monastery of Accumulated Fragrance, I wandered many miles through cloud-caught peaks And ancient forests, spying no trace of human footstep. Whence then, the faint peal of a temple bell? A gurgling stream chokes on treacherous rocks; The dying sun flicks coldly through the blue pines. By a quiet pool designed for meditation I subdue the Poisonous Dragon, passion. Where does it lie, Shrine of Stored Incense, How many miles into cloudy peaks? Where ancient woods have no tracks of men Deep in mountains sounds somewhere a bell; Waterfall's voice coming from steep crags $(And)$ sun's colour cold on the larches, A pale stillness Erasing lake's rim, Meditation tames Deadly Dragon! |
日譯: |
香積寺(こうしゃくじ)への道(みち)は知(し)らなかったが、雲(くも)のかかった高(たか)い峰々(みねみね)の中(なか)に、いつのまにか数里(すうり)も深(ふか)くわけ入(はい)っていた。あたりには古木(こぼく)が生(は)い茂(しげ)るばかりで、人(ひと)の通(とお)う小道(こみち)もなく、その深(ふか)い山(やま)の奥(おく)から聞(き)こえてくる鐘(かね)の音(おと)は、どこで打(う)ち鳴(な)らしているのであろうか。その鐘(かね)の音(おと)をたよりにさらに進(すす)めば、泉(いずみ)の水(みず)は高(たか)く切(き)り立(た)った岩(いわ)に当(あ)たって、むせぶような響(ひび)きをたて、日光(にっこう)は緑(みどり)の松(まつ)にさして、冷(さめ)たい色(いろ)あいを見(み)せている。
ふと気(き)がつくと夕暮(ゆうぐ)れの薄暗(うすぐら)がりの中(なか)、人(ひと)の気配(けはい)のない静寂(せいじゃく)の淵(ふち)のほとりで、心静(こころしず)かに座禅(ざぜん)を組(く)みながら、毒竜(どくりゅう) 人(ひと)に害(がい)をなす竜(りゅう)すなわち、おのれの煩悩(ぼんのう)を封(ふう)じこめている一人(ひとり)の僧(そう)の姿(すがた)があった。
香積寺への道は知らなかったが、雲のかかった高い峰々の中に、いつのまにか数里も深くわけ入っていた。あたりには古木が生い茂るばかりで、人の通う小道もなく、その深い山の奥から聞こえてくる鐘の音は、どこで打ち鳴らしているのであろうか。その鐘の音をたよりにさらに進めば、泉の水は高く切り立った岩に当たって、むせぶような響きをたて、日光は緑の松にさして、冷たい色あいを見せている。 ふと気がつくと夕暮れの薄暗がりの中、人の気配のない静寂の淵のほとりで、心静かに座禅を組みながら、毒竜 人に害をなす竜すなわち、おのれの煩悩を封じこめている一人の僧の姿があった。 香積寺(こうしゃくじ)を知(し)らず、数里(すうり) 雲峰(うんぽう)に入(い)る 古木(こぼく) 人逕(じんけい)無(な)く、深山(しんざん) 何(いづ)れの処(ところ)の鐘(かね)ぞ 泉声危石(ぜんせいきせき)に咽(むせ)び、日色青松(につしょくせいしょう)に冷(ひ)やかなり 薄暮(ばくぼう) 空譚(くうだん)の曲(きょく)、安禅(あんぜん)毒竜(どくりゅう)を制(せい)す 香積寺を知らず、数里 雲峰に入る 古木 人逕無く、深山 何れの処の鐘ぞ 泉声危石に咽び、日色青松に冷やかなり 薄暮 空譚の曲、安禅毒竜を制す 香積寺はどこにあるのか 数里のほど雲かかる峰に分け入った 古木生い茂って人かよぅ径も無く 深山にどこからか響く鐘の声 むせ せせらぎの音は切り立つ岩間に咽び 日の光は松のみどりに冷たく映える 夕暮れ人けない淵のほとりに 僧ひとり坐禅を組んで 心中の毒竜を封ずるを見た 香積寺(こうしゃくじ)を知(し)らず 数里(すうり) 雲峰(うんぽう)に入る 古木(こぼく) 人逕(じんけい)無し 深山(しんざん) 何(いず)れの処(ところ)の鐘(かね)ぞ 泉声(せんせい) 危石(きせき)に咽(むせ)び 日色(につしょく) 青松(せいしょう)に冷(ひや)かなり 薄暮(はくぼ) 空譚(くうたん)の曲(くま) 安禅(あんぜん) 毒竜(どくりょう)を制す 香積寺を知らず 数里 雲峰に入る 古木 人逕無し 深山 何れの処の鐘ぞ 泉声 危石に咽び 日色 青松に冷かなり 薄暮 空譚の曲 安禅 毒竜を制す 香積寺(かうしゃくじ)を知(し)らず、 數里(すうり) 雲峰(うんぼう)に入(い)る。 古木(こぼく) 人徑無(じんけいな)し。 深山(しんざん) 何(いづ)れの處(ところ)の鐘(しょう)ぞ。 泉聲(せんせい) 危石(きせき)に咽(むせ)び、 日色(につしょく) 青松(せいしょう)に冷(ひやや)かなり。 薄暮(はくぼ) 空潭(くうたん)の曲(ほとり)、 安禪(あんぜん) 毒龍(どくりょう)を制(せい)す。 香積寺を知らず、 數里 雲峰に入る。 古木 人徑無し。 深山 何れの處の鐘ぞ。 泉聲 危石に咽び、 日色 青松に冷かなり。 薄暮 空潭の曲、 安禪 毒龍を制す。 香積寺がどこにあるとも知らず、ただ數里ばかり雲のかかっている等にわけのぽっ たが、年古りたる木々がしんしんと茂って、人のかようべき小路もないところへきて しまった。すると、山深く、どこからともなく鐘の聲が聞えてきた。それをたよりに たずねてゆくと、香積寺の前に出た。ほとばしる泉の聲は高くそそりたつ岩にあたってむせび、日の光も青い老松のこずえを透かしてひいやりとした感じだ。夕ぐれに人 けのない淵のほとりで、一人の僧が坐禪を組み、その法力によって、暗くよどんだ淵の底に棲むというおそろしい毒龍を封じこめている姿がまことにありがたく見えた。 香積寺がどこにあるとも知らぬまま、数里ほども雲のかかる峰に分け入った。 年ふりた樹々が茂って人のかよう小道もなく、深い山の中にどこ からともなく鐘の音がひびく。 泉のせせらぎは切り立った岩の間に咽び、日の光は松の緑に冷ややかに映えている。 夕暮れ、ひと気のない淵のほとりに、静かに坐禅を組んで心中の毒竜をしずめている僧がいる。 知(し)らず 香積寺(かうしゃくじ) 数里(すうり) 雲峰(うんぽう)に入(い)る 古木(こぼく) 人逕(じんけい)無(な)く 深山(しんざん) 何処(いづこ)の鐘(かね)ぞ 泉声(せんせい) 危石(きせき)に咽(むせ)び 日色(にっしょく) 青松(せいしょう)に冷(ひや)やかなり 薄暮(ばくぼう) 空譚(くうだん)の曲(きょく) 安禅(あんぜん) 毒竜(どくりゅう)を制(せい)す 知らず 香積寺 数里 雲峰に入る 古木 人逕無く 深山 何処の鐘ぞ 泉声 危石に咽び 日色 青松に冷やかなり 薄暮 空譚の曲 安禅 毒竜を制す 香積寺はどこなの老ろう力。 数里ほど行くと雲つく峰の奧へと分け入った。 あたりには年を経た木々が生い茂るばかり、人の通う道もない。 するといずこよりか鐘の音が深山に響きわたる。 泉の水は高くそそり立つ岩にあたって、むせぶようにひびき、 日の光は青い松にさして、冷ややかに輝く。 夕暮れに人気のない淵のほとりで、 座禅を組んで雑念をしずめる。 知(し)らず 香積寺(こうしゃくじ)を 数里(すうり) 雲峰(うんぽう)に入(い)る 古木(こぼく) 人逕(じんけい)無(な)く 深山(しんざん) 何処(いずこ)の鐘(かね)ぞ 泉声(ぜんせい) 危石(きせき)に咽(むせ)び 日色青松(にっしょくせいしょう)に冷(ひ)やかなり 薄暮(はくぼ) 空譚(くうだん)の曲(ほとり) 安禅(あんぜん)毒竜(どくりゅう)を制(せい)す 知らず 香積寺を 数里 雲峰に入る 古木 人逕無く 深山 何処の鐘ぞ 泉声 危石に咽び 日色青松に冷やかなり 薄暮 空譚の曲 安禅毒竜を制す 香積寺どこなの老ろう力。 数里ほど行くと雲つく峰の奥へと分け入った。 あたりには年を経た木々が生い茂るばかり、人の通う道もない。 するといずこよりか鐘の音が深山に響きわたる。 泉の水は高くそそり立つ岩にあたって、むせぶようにひびき、 日の光は青い松にさして、冷ややかに輝く。 夕暮れに人気のない淵のほとりで 座禅を組んで雑念をしずめる。 知(し)らず 香積寺(こうしゃくじ) 数里(すうり) 雲峰(うんぽう)に入(い)る 古木(こぼく) 人逕(じんけい)無(な)く 深山(しんざん) 何処(いずこ)の鐘(かね)ぞ 泉声(せんせい) 危石(きせき)に咽(むせ)び 日色(にっしょく) 青松(せいしょう)に冷(ひ)ややかなり 薄暮(はくぼ) 空譚(くうたん)の曲(ほとり) 安禅(あんぜん) 毒龍(どくりょう)を制(せい)す 知らず 香積寺 数里 雲峰に入る 古木 人逕無く 深山 何処の鐘ぞ 泉声 危石に咽び 日色 青松に冷ややかなり 薄暮 空譚の曲 安禅 毒龍を制す |