題名: | 送梓州李使君 |
作者: | 王維 |
萬壑樹參天,千山響杜鵑。山中一夜雨,樹杪百重泉。漢女輸橦布,巴人訟芋田。文翁翻教授,不敢倚先賢。 | |
英譯: |
In the ten thousand mountain valleys, giant trees
finger the sky;
From a thousand hills the whistle of the cuckoo echoes.
After a long night of rain
A hundred waterfalls tumble threaded spray above the
tops of the trees...
The Han girls will pay tribute to you, Governor, with
t'ung cloth;
And men of Pa will quarrel in court over their tiny plots
of taro land.
Wên Wêng, that old scholar, turned the educational
system upside down.
Of course you will dare to follow the old sage's
good example?
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日譯: |
蜀(しょ)に至(いた)る山岳地帯(さんがくちたい)の多(おお)くの谷々(たにだに)には、樹木(じゅもく)が天空(てんくう)に突(つ)き入(はい)らんばかりに高(たか)くそびえ立(た)っており、多(おお)くの山々(やまやま)には、蜀(しょ)の地(ち)に生息(せいそく)して哀切(あいせつ)な声(こえ)で鳴(な)くほととぎすの声(こえ)が響(ひび)きわたっているであろう。山中(やまなか)には一晩中(ひとばんちゅう)降(ふ)り続(つず)いた雨(あめ)に、木々(きぎ)のこずえからは、ちょうど百(ひゃく)の泉(いずみ)が重(かさ)なり落(お)ちるような折(おり)もあろう。
さて君(きみ)の任地(にんち)の蜀(しょ)では漢中(かんちゅう)の女(おんな)たちが、蜀(しょ)の特産(とくさん)の橦布(とうふ)を上納(じょうのう)し、巴蜀(はしょく)の男(おとこ)たちは、いも畑(はたけ)について争(あらそ)いを起(お)こして訴訟(しょそう)してくることもあろう。この僻遠未開(へいえんみかい)の地(ち)を、昔(むかし)文翁(ぶんむう)はすっかり変(か)えて文化的(ぶんかてき)な状態(じょうたい)に教化(きょうか)し、決(け)っしてその先人(せんじん)に追随(ついずい)することはなかったという。あなたも、いたずらに先人(せんじん)にならうことなく、存分(ぞんぶん)に治績(ちせき)を挙(あ)げられたらよい。
蜀に至る山岳地帯の多くの谷々には、樹木が天空に突き入らんばかりに高くそびえ立っており、多くの山々には、蜀の地に生息して哀切な声で鳴くほととぎすの声が響きわたっているであろう。山中には一晩中降り続いた雨に、木々のこずえからは、ちょうど百の泉が重なり落ちるような折もあろう。 さて君の任地の蜀では漢中の女たちが、蜀の特産の橦布を上納し、巴蜀の男たちは、いも畑について争いを起こして訴訟してくることもあろう。この僻遠未開の地を、昔文翁はすっかり変えて文化的な状態に教化し、決っしてその先人に追随することはなかったという。あなたも、いたずらに先人にならうことなく、存分に治績を挙げられたらよい。 万壑(ばんがく) 樹(き) 天(てん)に参(まじ)わり、千山(せんざん) 杜鵑(とけん)響(ひび)く 山中一夜(さんちゅういちや)の雨(あめ)、樹杪白重(じゅうびょうひゃくちゅう)の泉(いずみ) 漢女(かんじょ) 橦布(とうふ)を輸(いた)し、巴人(はひと) 芋田(うでん)を訟(うつた)へん 文翁(ぶんむう) 翻(ひるがえ)して教授(きょうじゅ)し、敢(あ)えて先賢(せんけん)に倚(よ)らず 万壑 樹 天に参わり、千山 杜鵑響く 山中一夜の雨、樹杪白重の泉 漢女 橦布を輸し、巴人 芋田を訟へん 文翁 翻して教授し、敢えて先賢に倚らず 君が行く蜀の地は 千山万壑重なって 樹々は高く天に参わり 杜鵑がその間に鳴き渡る 山中一夜雨ふれば 樹々の梢から落ちる水は 百の泉を懸けたよう 漢族の女は橦布を納め 巴蜀の土民は芋畑を争う 昔漢の文翁は 蜀の太守となってきて 民を見事に教化した 君いまこの地に刺史となって 必ずやこの先人に 劣らぬ治績を示されよう 万壑(ばんがく) 樹(き) 天(てん)に参(まじ)わり 千山(せんざん) 杜鵑(とけん)響(ひび)く 山中 一夜(や)の雨(あめ) 樹杪(じゅしょう) 百重(ちょう)の泉(いずみ) 漢女(かんじょ) 橦布(どうふ)を輸(いた)し 巴人(はじん) 芋田(うでん)を訟(うった)う 文翁(ぶんむう) 翻(ひるがえ)って教授す 敢(あ)えて先賢に倚(よ)らざらんや 万壑 樹 天に参わり 千山 杜鵑響く 山中 一夜の雨 樹杪 百重の泉 漢女 橦布を輸し 巴人 芋田を訟う 文翁 翻って教授す 敢えて先賢に倚らざらんや |