題名: | 無題 |
作者: | 李商隱 |
颯颯東風細雨來,芙蓉塘外有輕雷。金蟾齧鏁燒香入,玉虎牽絲汲井迴。賈氏窺簾韓掾少,宓妃留枕魏王才。春心莫共花爭發,一寸相思一寸灰。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
春風がサァー細やかな雨を伴なって吹いて来た。$烟雨にかすむ$芙蓉池のかなたに、遠雷の音がかすかに聞こえてくる。
$部屋の中では$黄金作りの蝦蟇の香炉が口を閉すと、香煙が隅々まで流れ入り、$窓の外では$玉製の虎の轆轤がつるべを引きつつ、井戸辺でカラカラと廻っている。
そのかみ、賈充の娘は簾のかげからのぞいて、父の部下、年若い韓寿に一目惚れ。悲運の后、甄后は胸の思いを玉鎮の枕に托し、曹植は晴れぬ心を「洛神の賦」に詠んだと言う。$しかし、今の私は韓寿ほど若く美しくもない。まして、思いを意のままに綴る曹植の才に及びもつかない。$
人を恋うる青春の情熱は、$春の訪れとともに一挙に咲く春の花にも似て、何ともとどめかねるものではあるがこゆめ、花とともに咲こうなどとは考えまい。一寸の心の中に燃えさかる恋の思いは、やがて$時の移ろいにつれて、$燃え尽きて灰になって しまうのだから。
颯颯(さつきつ)たる東風 細雨(さいう)来(き)たる 芙蓉塘外(ふようたうぐわい) 軽雷(けいらい)有(あ)り 金蟾鏁(きんせんさ)を齧(か)み 香(かう)を焼(や)きて入(い)り 玉虎(ぎょくこ)糸(いと)を牽(ひ)き 井(せい)を汲(く)んで廻(めぐ)る 賈氏(かし)簾(れん)を窺(うかが)ひて 韓掾(かんえん)少(わか)く 宓妃(ふくひ)枕(まくら)を留(とど)めて 魏王(ぎわう)才(さい)あり 春心(しゅんしん) 花(はな)と共(とも)に争(あらそ)ひて発(ひら)くを莫(な)かれ 一寸(いっすん)の相思(さうし) 一寸(いっすん)の灰(はい) 颯颯たる東風 細雨来たる 芙蓉塘外 軽雷有り 金蟾鏁を齧み 香を焼きて入り 玉虎糸を牽き 井を汲んで廻る 賈氏簾を窺ひて 韓掾少く 宓妃枕を留めて 魏王才あり 春心 花と共に争ひて発くを莫かれ 一寸の相思 一寸の灰 |