題名: | 西施詠 |
作者: | 王維 |
豔色天下重,西施寧久微。朝仍越溪女,暮作吳宮妃。賤日豈殊衆,貴來方悟稀。邀人傅香粉,不自著羅衣。君寵益嬌態,君憐無是非。當時浣紗伴,莫得同車歸。持謝鄰家子,效顰安可希。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
女性(じょせい)のあでやかな容色(ようしょく)は、世(よ)のすべての人々(ひとびと)の重(おも)んずるところであって、西施(せいし)ほどの美女(びじょ)がどうして長間(ながいあいだ)、微賤(びせん)なままで世(よ)に現(あらわ)れないことがあろうか。その日(ひ)の朝(あさ)までは越(えつ)の若耶渓(わやけい)の谷間(たにま)のうすぎぬを洗(あら)う女(おんな)であったものが、その夕暮(ゆうぐ)れには早(はや)くも吳王(ごおう)夫差(ふさ)の宮殿(きゅうでん)のきさきとなっていた。
低(ひく)い身分(みぶん)のころ、どうして世(よ)の人々(ひとびと)と異(こと)なるところがあったろうか、身分(みぶん)が高(たか)くなってから、はじめて世(よ)にもまれなる美女(びじょ)であると気(き)づいたのだ。かしづく人(ひと)を呼(よ)び迎(まか)えて化粧(けしょう)をしてもらい、西施(せいし)自身(じしん)が自分(じぶん)でうすぎぬの衣(ころも)を着(き)るようなことはなくなった。君主(ぐんしゅ)の寵愛(ちょうあい)によって、ますます美女(びじょ)の姿態(したい)は、なまめかしくなり、君主(くんしゅ)の愛(あい)の甚(はなはだ)しさは、その是非(ぜひ)の分別(ふんべつ)も失(うしな)われ西施(せいし)のいいなりとなるありさま。
若耶渓(わやけい)でうすぎぬを洗(あら)っていた当時(とうじ)の仲間(なかま)たちで、西施(せいし)とともに同(おな)じ車(くるま)に乗(の)って帰(かえ)ることのできる者(もの)はいないのだ。だから、そこで隣近所(りんきんじょ)の子女(しじょ)に告(つ)げよう。西施(せいし)のような美貌(びぼう)を持(も)たないのにむやみにそのまねをして顔(かお)をしかめ、美(うつく)しさを示(し)めそなどとどうして願(ねが)うべきであろうかと。
女性のあでやかな容色は、世のすべての人々の重んずるところであって、西施ほどの美女がどうして長間、微賤なままで世に現れないことがあろうか。その日の朝までは越の若耶渓の谷間のうすぎぬを洗う女であったものが、その夕暮れには早くも吳王夫差の宮殿のきさきとなっていた。 低い身分のころ、どうして世の人々と異なるところがあったろうか、身分が高くなってから、はじめて世にもまれなる美女であると気づいたのだ。かしづく人を呼び迎えて化粧をしてもらい、西施自身が自分でうすぎぬの衣を着るようなことはなくなった。君主の寵愛によって、ますます美女の姿態は、なまめかしくなり、君主の愛の甚しさは、その是非の分別も失われ西施のいいなりとなるありさま。 若耶渓でうすぎぬを洗っていた当時の仲間たちで、西施とともに同じ車に乗って帰ることのできる者はいないのだ。だから、そこで隣近所の子女に告げよう。西施のような美貌を持たないのにむやみにそのまねをして顔をしかめ、美しさを示めそなどとどうして願うべきであろうかと。 艷色(えんしょく) 天下(てんか)重(おも)んず、西施(せいし)甯(なん)ぞ久(ひさ)しく微(び)ならんや 朝(あした)には越渓(えつけい)の女為(じょた)るも、暮(くれ)には呉宮(ごきゅう)の妃(ひ)と作(な)る 賤日(せんじつ) 豈(あ)に衆(しゅう)に殊(ことなら)んや、貴来(きらい) 方(まさ)に稀(まれ)なる悟(さと)る 人(ひと)を邀(むか)えて 脂粉(しふん)を傅(つ)けしめ、自(みづか)ら羅衣(らい)を著(つ)けず 君寵嬌態(くんちょうきょうたい)を益(ま)し、君憐是非(くんりんぜひ)する無(な)し 当時(とうじ) 紗(さ)を浣(あら)いし伴(とも)も、車(くるま)を同(おな)じくして帰(かえ)るを得(う)る莫(な)し 持(もつ)て隣家(りんか)の子(こ)に謝(しゃ)す、顰(ひそ)みに效(なら)ふこと 安(いづ)くんぞ希(ねが)うべけんやと 艷色 天下重んず、西施甯ぞ久しく微ならんや 朝には越渓の女為るも、暮には呉宮の妃と作る 賤日 豈に衆に殊んや、貴来 方に稀なる悟る 人を邀えて 脂粉を傅けしめ、自ら羅衣を著けず 君寵嬌態を益し、君憐是非する無し 当時紗を浣いし伴も、車を同じくして帰るを得る莫し 持て隣家の子に謝す、顰みに效ふこと 安くんぞ希うべけんやと 美女(びじょ)は天下(てんか)の宝(たから)もの 西施(せいし)ほどの美人(びじん)が久(ひさ)しく埋(う)もれているはない 朝(あさ)には越(えつ)の谷間(たにあい)に紗(きぬ)洗(あら)い 夕(ゆう)には呉王(ごおう)の妃(きさき)となる 貧(まずし)しい時(とき)は人(ひと)と違(ちが)ったこともなく 高貴(こうき)となれば世(よ)に稀(まれ)なその身(み)に気(き)づき 脂粉(しふん)つけるも人手(ひとで)により うす衣(い)着(き)るのも自分(じぶん)では着(き)ぬ 寵(ちょう)に馴(な)れてはますます嬌(きょう)っぽく 愛(あい)をうけては過(あやま)ちもとがめられぬ 昔(むかし)一緒(いっしょう)に紗(きぬ)を洗(あら)った仲間(なかま)たち 誰(だれ)とて同車(どうしゃ)して王宮(おうきゅう)に行(い)けるものはない 世(よ)のむすめたちょ 西施(せいし)の美貌(びぼう)もないくせに ひそみにならうことはすまいぞ 美女は天下の宝もの 西施ほどの美人が久しく埋もれているはない 朝には越の谷間に紗洗い 夕には呉王の妃となる 貧しい時は人と違ったこともなく 高貴となれば世に稀なその身に気づき 脂粉つけるも人手により うす衣着るのも自分では着ぬ 寵に馴れてはますます嬌っぽく 愛をうけては過ちもとがめられぬ 昔一緒に紗を洗った仲間たち 誰とて同車して王宮に行けるものはない 世のむすめたちょ 西施の美貌もないくせに ひそみにならうことはすまいぞ 艶色(えんしょく)は天下(てんか)重(おも)んず 西施(せいし) 寧(あに) 久しく微(び)ならむや 朝(あした)には越渓(えつけい)の女たり 暮(くれ)には呉宮(ごきゅう)の妃(ひ)と作(な)る 賤日(せんじつ) 豈(あに) 衆(しゅう)に殊(こと) 貴来(きらい) 方(まさ)に稀(まれ)なるを悟(さと)る 人(ひと)を邀(むか)えて香粉(こうふん)を傅(つ)けしめ 自(みずか)ら羅衣(らい)を着(つ)けず 君寵(くんちょう) 嬌態(きょうたい)を益(ま)し 君(きみ)憐(あわ)れんで是非(ぜひ)する無(な)し 当時(どうじ) 浣紗(かんさ)の伴(ともがら) 車(くるま)を同(おな)じゅうして帰(かえ)るを得(え)る莫(な)し 持(も)って鄭家(りんか)の子(こ)に謝(あやま)す 顰(ひそみ )に(なら)うこと安(いずく)んぞ希(こいねが)うべけむ 艶色は天下重んず 西施 寧 久しく微ならむや 朝には越渓の女たり 暮には呉宮の妃と作る 賤日 豈 衆に殊 貴来 方に稀なるを悟る 人を邀えて香粉を傅けしめ 自ら羅衣を着けず 君寵 嬌態を益し 君憐れんで是非する無し 当時 浣紗の伴 車を同じゅうして帰るを得る莫し 持って鄭家の子に謝す 顰にうこと安んぞ希うべけむ |