題名: | 寄微之 |
作者: | 白居易 |
江州望通州,天涯與地末。有山萬丈高,有江千里闊。間之以雲霧,飛鳥不可越。誰知千古險,爲我二人設。通州君初到,鬱鬱愁如結。江州我方去,迢迢行未歇。道路日乖隔,音信日斷絕。因風欲寄語,地遠聲不徹。生當復相逢,死當從此別。君遊襄陽日,我在長安住。今君在通州,我過襄陽去。襄陽九里郭,樓堞連雲樹。顧此稍依依,是君舊遊處。蒼茫蒹葭水,中有潯陽路。此去更相思,江西少親故。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
江州から通州の方をながめると
天のはてと地の末ほどはなれている。
あいだには万丈の山があり、
千里のはばある大川がある。
また雲や霧があいだをへだてていて、
空とぶ鳥も越えることができない。
昔からの険も、
われわれ二人のために設けられたのかしらん。
君がはじめて通州に行った時は、
ずいぶん憂鬱そぅだった。
ぼくが江州へ行くいまも、
みちははるかでいくら行っても終わりとならない。
日ごとに道はへだたってゆき、
おとずれも日々にたえてゆく。
風にことばをことづけようとしても、
遠くへだたっているのでとどかないだろう。
生きていたらまた会えるが、
死んだらこれでお別れとなるのだね。
君が襄陽にいた日には、
ぼくは長安にいた。
いま君は通州におり、
ぼくは襄陽を通りすぎてゆく。
襄陽はまわりが九里の都会で、
楼や城壁が雲までとどくかと思われる高い樹とつらな っている。
ここを見てすこしなつかしくなったのは、
君がもといたところだというせいだ。
ヨシの茂った大川は青く広く、
これぞ江州へゆく水路だ。
この襄陽を去ればいよいよ君がこいしくなろう、
江州方面には知り合いがすくないのだから。
江州(かうしう)より通州(つうしう)を望(のぞ)む、 天涯(てんがい)と地末(ちまつ)と。 山(やま)あり萬丈(ばんぢゃう)高(たか)く、 江(かう)あり千里(せんり)濶(ひろ)し。 これを間(へだ)つるに雲霧(うんむ)をもってし、 飛鳥(ひてう)も越(こ)ゆべからず。 誰(たれ)か知(し)らんだ千古(せんこ)の険(けん)、 われら二人(ふたり)のために設(まう)くるを。 通州(つうしう)に君(きみ)はじめて到(いた)るや、 鬱鬱(うつうつ)として愁(うれひ)結(むす)ぶがごとし。 江州(かうしう)にわれまさに去(さ)るや、 迢迢(てうてう)として行(ゆ)きていまだ歇(や)まず。 道路(だうろ) 日(ひ) 乖隔(くわいかく)し、 音信(おんしん) 日(ひ) 斷絕(だんぜつ)す。 風(かぜ)によりて語(ご)を寄(よ)せんと欲(ほっ)すれども、 地(ち)遠(とほ)くして聲(こえ)徹(とほ)らず。 生(い)きてはまさにまた相(あひ)逢(あ)ふべきも、 死(し)すればまさにこれより別(わか)るべし。 君(きみ)が襄陽(じゃうやう)に遊(あそ)びし日(ひ) われ長安(ちゃうあん)に在(あ)りて住(ぢう)せり。 いま君(きみ) 通州(つうしう)に在り、 われ襄陽(じゃうやう)を過(す)ぎて去(さ)る。 襄陽(じゃうやう)は九里(きうり)の郭(くわく)、 樓雉(ろうち) 雲樹(うんじゅ)に連(つらな)る。 これを顧(かへり)みてやや依依(いい)たり、 これ君(きみ)が舊遊(きういう)の處(ところ)なり。 蒼茫(さうばう)たり兼葭(けんか)の水(みづ)、 中(うち)に潯陽(じんやう)の路(みち)あり。 ここを去(さ)りてさらに相(あひ)思(おも)はん、 江西(かうせい)には親故(しんこ)少(すくな)し。 江州より通州を望む、 天涯と地末と。 山あり萬丈高く、 江あり千里濶し。 これを間つるに雲霧をもってし、 飛鳥も越ゆべからず。 誰か知らんだ千古の険、 われら二人のために設くるを。 通州に君はじめて到るや、 鬱鬱として愁結ぶがごとし。 江州にわれまさに去るや、 迢迢として行きていまだ歇まず。 道路 日 乖隔し、 音信 日 斷絕す。 風によりて語を寄せんと欲すれども、 地遠くして聲徹らず。 生きてはまさにまた相逢ふべきも、 死すればまさにこれより別るべし。 君が襄陽に遊びし日 われ長安に在りて住せり。 いま君 通州に在り、 われ襄陽を過ぎて去る。 襄陽は九里の郭、 樓雉 雲樹に連る。 これを顧みてやや依依たり、 これ君が舊遊の處なり。 蒼茫たり兼葭の水、 中に潯陽の路あり。 ここを去りてさらに相思はん、 江西には親故少し。 |