題名: | 放言 |
作者: | 白居易 |
世途倚伏都無定,塵網牽纏卒未休。禍福回還車轉轂,榮枯反覆手藏鉤。龜靈未免刳腸患,馬失應無折足憂。不信君看弈棊者,輸贏須待局終頭。贈君一法決狐疑,不用鑽龜與祝蓍。試玉要燒三日滿,辨材須待七年期。周公恐懼流言後,王莽謙恭未篡時。向使當初身便死,一生真僞復誰知。誰家第宅成還破,何處親賓哭復歌。昨日屋頭堪炙手,今朝門外好張羅。北邙未省留閑地,東海何曾有定波。莫笑賤貧誇富貴,共成枯骨兩如何。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
世間では禍福にはいっこう定まりがなく
またいわゆる浮世のわずらわしさには休みがないものだ。
禍福のめぐることは車のコシキのとおりで
柴枯盛衰のらつりかわりは蔵鉤のあそびそのままだ。
亀は霊能があるのでドに用いられて腸をさかれ
塞翁の馬はいなくなったままなら息子が足を折る心配もなかったのだが。
もしわたしのことばが信じられなければ碁・将棋をみたまえ。
勝負は局が終わらなければわからないじゃないか。
君にあやしい人物を鑑定するよい方法をさしあげよぅ。
亀の甲をきざんだりメドハギを用いないで、年月をかける
宝石を鑑定するには満三日も焼かねばならないし
予木と章木の区別は七年間またねばわからない。
周公でさえ事実無根のことをいいふらされたときは心配し
王莽のような姦物も帝位をうばう前は低姿勢だった。
はじめの中にこの二人が死んでいたとしたら
その生涯のほんとうのところはわからなかったろう。
どこの邸宅かしら落成したと思うともう破れている。
どこかでは親戚やお客が死者を悼んでいるかと思うとすぐたのしく歌いだす。
昨日までは手をあぶるほど勢いの盛んだった家で
今日は門前に雀羅を張るによくなっている。
北邙山の墓地にはいつも空地がないし
東海もあとからあとから波が寄せている。
貧賤を笑うな、富貴を自慢するな。
骨となればみな同じことじゃないか。
世途(せいと)は倚伏(いふく)すべて定(さだ)まることなく 塵網(ぢんまう)の牽纒(けんてん)つひにいまだ休(や)まず。 禍福(くわふく) 迴還(くわいくわん)して車轂(くるまこく)を轉(てん)じ 榮枯(えいこ) 反覆(はんぶく)して手(て)に鉤(こう)を藏(ざう)す。 龜(かめ)は靈(れい)なれどいまだ腸(ちゃう)を刳(さ)くの患(うれひ)を免(まぬが)れず 馬(うま)失(しつ)してまさに足(あし)を折(わ)るの憂(うれひ)なかるべし。 信(しん)ぜずば君(きみ)看(み)よ弈棋(えきき)の者(もの)を 輸贏(しゅえい)すべからく待(ま)つべし局(きょく)の終頭(しゅうとう)。 君(きみ)に一法(いっぱみ)を贈(おく)りて狐疑(こぎ)を決(けっ)せしめん 鑽龜(さんき)と祝蓍(しゅくし)を用(もち)ひず。 玉(たま)を試(こころ)むるには焼(や)くこと三日(さんにち)に滿(み)たんを要(えう)し 材(ざい)を辨(べん)ずるにはすべからく七年(しちねん)の期(き)を待(ま)つべし。 周公(しうこう)恐懼(きょうく)す流言(りうげん)の日(ひ) 王莽(わうまう)謙恭(けんきょう)なりいまだ篡(さん)せざる時(とき)。 さきに當初(たうしょ)に身(み)すなはち死(し)せしめば 一生(いっひゃう)の眞偽(しんぎ)また誰(れ)か知らん。 誰(た)が家(いへ)の第宅(ていたく)ぞ成(な)りてまた破(やぶ)る いづれの處(とこと)の親賓(しんびん)ぞ哭(こく)してまた歌(うた)ふ。 昨日(さくじつ)は屋頭(をくとう) 手(て)を炙(あぶ)るに堪(た)へにしを 今朝(こんてう)は開外(もんぐわい)、羅(ら)を張(は)るに好(よ)し。 北邙(ほくばう)いまだ省(み)ず閑地(かんち)を留(とど)むるを 東海(とうかい)なんぞかつて定波(ていは)あらん。 賤貧(せんぴん)を笑(わら)ひ富貴(ふうき)に誇(ほこ)るなかれ ともに枯骨(ここつ)と成(な)りて兩(ふた)つながら如何(いかん)。 世途は倚伏すべて定まることなく 塵網の牽纒つひにいまだ休まず。 禍福 迴還して車轂を轉じ 榮枯 反覆して手に鉤を藏す。 龜は靈なれどいまだ腸を刳くの患を免れず 馬失してまさに足を折るの憂なかるべし。 信ぜずば君看よ弈棋の者を 輸贏すべからく待つべし局の終頭。 君に一法を贈りて狐疑を決せしめん 鑽龜と祝蓍を用ひず。 玉を試むるには焼くこと三日に滿たんを要し 材を辨ずるにはすべからく七年の期を待つべし。 周公恐懼す流言の日 王莽謙恭なりいまだ篡せざる時。 さきに當初に身すなはち死せしめば 一生の眞偽また誰か知らん。 誰が家の第宅ぞ成りてまた破る いづれの處の親賓ぞ哭してまた歌ふ。 昨日は屋頭 手を炙るに堪へにしを 今朝は開外、羅を張るに好し。 北邙いまだ省ず閑地を留むるを 東海なんぞかつて定波あらん。 賤貧を笑ひ富貴に誇るなかれ ともに枯骨と成りて兩つながら如何。 |