題名: | 秋興八首其一 |
作者: | 杜甫 |
玉露凋傷楓樹林, 巫山巫峽氣蕭森。 江間波浪兼天涌, 塞上風雲接地陰。 叢菊兩開他日淚, 孤舟一系故園心。 寒衣處處催刀尺, 白帝城高急暮砧。 | |
英譯: |
The pearly dews depress and wilt the maple woods ,
Wu Cliffs and Gorge are veiled in a haze of woes .
To heaven high the waves of Yangtze leap and bound ,
The ominous clouds cloak the mountain pass to ground .
I'll weep for having twice seen asters bloom and die ,
The lonely boat yet anchors my heart that'll home fly .
All scissors and rulers are busy for winter clothes ,
And washing mallets beat at dusk in Baidi's alp blows .
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日譯: |
玉のような露が、色づいた楓樹の森をそこないしおれさせ、ここ巫山巫映一帯には、秋のけはいがきびしくはりつめている。
長江の波浪は天空を巻きこむばかりに激しく湧き立ち、塞のあたりの風はらむ雲は大地にふれるほどにたれこめて暗い。
むらがる菊は今年もまた花を開いて、過ぎし日々を思う涙を誘い、一そうの小舟はずっとつながれたままになって、故郷をなつかうである。
いまや冬着の季節となり、どこの家でも裁縫に追い立てられているのだろう。はるか白帝の城壁が高くそびえるあたりまで、夕暮れの砧の音があわただしく響きわたっている。
玉露(ぎょくろ)凋傷(てうしゃう)す 楓樹林(ふうじゅ)の林(はやし) 巫山(ふざん)巫峽(ふけふ) 気(き) 蕭森(せうしん) 江閒(かうかん)の波浪(はらう) 天(てん)を兼(か)ねて湧(わ)き 塞上(さいじゃう)の風雲(ふううん) 地(ち)に接(せっ)して陰(くも)る 叢菊(そうきく)両(ふたた)び開(ひら)く 他日(たじつ)の淚(なみだ) 孤舟(こしう)一(ひと)へに繋(つな)ぐ 故園(こえん)の心(こころ) 寒衣(かんい) 処処(しょしょ) 刀尺(たうせき)を催(もよほ)す 白帝(はくてい) 城高(しろたか)くして 暮砧(ぼちん)急(きふ)なり 玉露凋傷す 楓樹林の林 巫山巫峽 気 蕭森 江閒の波浪 天を兼ねて湧き 塞上の風雲 地に接して陰る 叢菊両び開く 他日の淚 孤舟一へに繋ぐ 故園の心 寒衣 処処 刀尺を催す 白帝 城高くして 暮砧急なり |