題名: | 黑潭龍-疾貪吏也 |
作者: | 白居易 |
黑潭水深黑如墨, 傳有神龍人不識。 潭上架屋官立祠, 龍不能神人神之。 豐兇水旱與疾疫, 鄉里皆言龍所爲。 家家養豚漉清酒, 朝祈暮賽依巫口。 神之來兮風飄飄, 紙錢動兮錦傘搖。 神之去兮風亦靜, 香火滅兮杯盤冷。 肉堆潭岸石, 酒潑廟前草。 不知龍神享幾多, 林鼠山狐長醉飽。 狐何幸, 豚何辜, 年年殺豚將喂狐。 狐假龍神食豚盡, 九重泉底龍知無。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
黒ずんだ澤の水は深く、その色はまるで墨のよう。そこには不思議な竜がいると伝えられているが、誰も姿をよく見た人はいない。
しかし潭のほとりに建物を作り、お上は祠を建てた。竜はもともと神ではありえないのに、人間が勝手にこれを神にしてしまった。
豊作や凶作、水害や干害、流行病がおこると、村人それぞれがみな、この竜のしわざであるという。
ためにどこの家でも豚を飼い清酒を選して、巫のいいなりに従って、朝はお祈りをし夕ベにはお礼まいりをする。
竜神さまがおいでになる時は、風がヒューヒューと吹き、紙銭は動いて、錦のかさはユラュラと揺れる。
竜神さまがおたちになる時は、風も静かにやんで、香の火もきえ、杯や大皿に盛った供えものもつめたくなってしまう。
豚の肉は潭の岸辺の石にうず高くつまれ、酒は廟の前の草にまきそそがれる。
いったいこの竜神さまは、供えものをどれほど召しあがるのであろうか。ただ、林に住むねずみや山ぎつねが、いつでも、酔って腹一杯になるばかり。
きつねは何と幸せなことであろう。それにひきかえ、ぶたは、いったいどんな罪があるというのか。毎年毎年ぶたを殺し、それでもってきつねを養おうとしている。きつねは竜神さまのご威光をかさにきて、ぶたを食い尽くそうとしている。深い潭に住まわれる竜神さまは、それをご存知ないのでありましょうか。
黑潭(こくたん) 水深(みづふか)くして色墨(いろすみ)の如(ごと)し 神竜(しんりゅう)有(あ)りと伝(つた)ふるも 人識(ひとし)らず 潭上(たんじゃう)に屋(をく)を架(か)し 官(くわん)は祠(ほこら)を立(た)つ 竜(りゅう)は神(しん)なる能(あた)はず 人(ひと) 之(これ)を神(しん)とす 豊凶(ほうきょう)を水旱(すいかん)を疾疫(しつえき)と 鄉里(きゃうり)皆(みな)言(い)ふ 竜(りゅう)の爲(な)す所(ところ)と 家家(いへいへ) 豚(ぶた)を養(やしな)ひ清酒(せいしゅ)を漉(こ)し 朝(あした)に祈(いの)り暮(く)れに賽(さい)して 巫口(ふこう)に依(よ)る 神(しん)の来(き)たるや 風(かぜ) 飄飄(へうへう)たり 紙錢(しせん)動(うご)き 錦傘(きんさん)搖(ゆ)らぐ 神(しん)の去(さ)るや 風(かぜ) 亦(ま)た靜(しづ)かなり 香火(かうくわ)滅(めっ)して 杯盤(はいばん)冷(ひや)やかなり 肉(にく)は堆(うづたか)し 潭岸(たんがん)の石(いし) 酒(さけ)は潑(そそ)ぐ 廟前(べうぜん)の草(くさ) 知(し)らず 竜神(りゅうしん)の饗(う)くること幾多(いくた)なるかを 林鼠(りんそ) 山狐(さんこ) 長(なが)く醉飽(すいはう)す 狐(きつね)は何(なん)ぞ幸(さいは)ひなる 豚(ぶた)は何(なん)の辜(つみ)かある 年年(ねんねん) 豚(ぶた)を殺(ころ)して将(まさ)に狐(こつね)を餧(やしな)はんとす 狐(きつね)は竜神(りゅうしん)に仮(か)りて豚(ぶた)を食(く)ひ尽(つ)くす 九重(きうしょう)の泉底(せんてい)に 竜(りゅう)は知(し)るや無(いな)や 黑潭 水深くして色墨の如し 神竜有りと伝ふるも 人識らず 潭上に屋を架し 官は祠を立つ 竜は神なる能はず 人 之を神とす 豊凶を水旱を疾疫と 鄉里皆言ふ 竜の爲す所と 家家 豚を養ひ清酒を漉し 朝に祈り暮れに賽して 巫口に依る 神の来たるや 風 飄飄たり 紙錢動き 錦傘搖らぐ 神の去るや 風 亦た靜かなり 香火滅して 杯盤冷やかなり 肉は堆し 潭岸の石 酒は潑ぐ 廟前の草 知らず 竜神の饗くること幾多なるかを 林鼠 山狐 長く醉飽す 狐は何ぞ幸ひなる 豚は何の辜かある 年年 豚を殺して将に狐を餧はんとす 狐は竜神に仮りて豚を食ひ尽くす 九重の泉底に 竜は知るや無や |