題名: | 遙同杜員外審言過嶺 |
作者: | 沈佺期 |
天長地闊嶺頭分,去國離家見白雲。洛浦風光何所似,崇山瘴癘不堪聞。南浮漲海人何處?北望衡陽雁幾羣。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
天はどこまでもつづいており、地はどれほど廣いか果てしがない。大庾嶺を越えてくると、そこから道は、いくつにも分かれて、流人はそれぞれ行く先が違うことがわかった。國を出て家を離れて、毎日ただ白い雲の飛ぶのを眺めている。
どこか、あのなつかしい洛水のほとりの景色に似たところはないかとさがしながら、行けども行けども、いっこうにそんなところは見あたらない。崇山のあたりは、ひどい不健康地で毒氣がたちこめていると、行くさきざきで聞かされるのも、やりきれない。
このあたりから漲海に舟出して行ったという君は、いまごろどのへんにいるのだろう。ふりかえってみると、これまで南のはてにあると思っていた衡陽も眞北にあたっている。渡り鳥のでさえ、あそこから南へは行かないという囘雁峯のあたり、もちろん遠くて視界には、はいってこない$雁のたよりもとどかないはずといえよう$。君が行きつくはての峯州も、わが落ちゆく先の驩州も、洛陽からは一萬里以上も距離がある。おたがいに、いつになったら、もう一度、都にかえって聖天子にお目通りがかなうことだろう。
天(てん)長(なが)く地(ち)闊(ひろ)くして嶺頭(れいとう)分(わか)る。 國(くに)を去(さ)り家(いへ)を離(はな)れて白雲(はくうん)を見(み)る。 洛浦(らくほ)の風光(ふうくわう) 何(なん)の似(に)たる所(ところ)ぞ。 崇山(すうざん)の瘴癘(しゃうれい) 聞(き)くに堪(た)へず。 南(みなみ)のかた漲海(ちゃうかい)に浮(うか)ぶ 人(ひと)は何(いづ)れの處(ところ)ぞ。 北(きた)のかた衡陽(かうやう)を望(のぞ)めば 雁(かり)幾群(いくぐん)ぞ。 兩地(りゃうち)の江山(かうざん)萬餘里(ばんより)。 何(いづ)れの時(とき)か重(かさ)ねて聖明(せいめい)の君(きみ)に謁(えっ)せん。 天長く地闊くして嶺頭分る。 國を去り家を離れて白雲を見る。 洛浦の風光 何の似たる所ぞ。 崇山の瘴癘 聞くに堪へず。 南のかた漲海に浮ぶ 人は何れの處ぞ。 北のかた衡陽を望めば 雁幾群ぞ。 兩地の江山萬餘里。 何れの時か重ねて聖明の君に謁せん。 |