題名: | 古意呈補闕喬知之 |
作者: | 沈佺期 |
盧家少婦鬱金堂,海燕雙棲玳瑁梁。九月寒砧催木葉,十年征戍憶遼陽。白狼河北音書斷,丹鳳城南秋夜長。誰謂含愁獨不見,更教明月照流黃。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
盧家の奥深い屋敷に若い妻がひっそりと住んでいる。そこは鬱金香を璧に塗りこめた豪奢な部屋。べっこうをちりばめたきらきらする梁に一番のつばめが巣をくっている。
九月の空氣は日ごとに冷えてゆき、遠近から聞えてくる砧をうつ音、トーントーンという拍子につれて、そのたびに、はらはらとの木の葉が散ってゆく。十五という歳、世間のことを知らなかったあたしは、この家に興入れしてきた。ところがまもなく主人は應召して遼陽の守備隊に行ってしまった。あれからもう十年。遠い遠い白狼河という恐ろしい名の河の北にいるらしいけれど、ちかごろでは一通の消息さえ來なくなった。それにしても、この長安の都、丹鳳城の南では秋の夜がなんと長いこと!
誰のためにあんなに悲しげな笛を吹いているのだろ、あれは獨不見の曲ではないの。たったひとりだけ逢えないひとがいるというあの曲を!そう思っていると、おまけに明月の光が窓からさしこんできて、とばりの絹を照らしてくる。こんな目にあわせて、このあたしをどうするのだろ。やるせなや。
盧家(ろか)の少婦(せうふ) 鬱金堂(うつこんだう) 海燕(かいえん)雙(なら)び棲(す)む玳瑁(たいまい)の梁(うつばり) 九月(くぐわつ)の寒砧(かんちん) 木葉(もくえふ)を催(もよほ)す 十年(じふねん)の征戍(せいじゆ) 遼陽(れうやう)を憶(おも)ふ 白狼河北(はくらうかほく) 音書(いんしょ)斷(た)え 丹鳳(たんほう)城南(じやうなん)秋夜(しうや)長(なが)し 誰(た)が爲(ため)に愁(ろれひ)を含(ふく)む 獨不見(どくふけん) 更(さら)に明月(めいげつ)をして流黄(りうくわう)を照(て)らさしむ 盧家の少婦 鬱金堂 海燕雙び棲む玳瑁の梁 九月の寒砧 木葉を催す 十年の征戍 遼陽を憶ふ 白狼河北 音書斷え 丹鳳城南秋夜長し 誰が爲に愁を含む 獨不見 更に明月をして流黄を照らさしむ |