題名: | 紅樓院應制 |
作者: | 沈佺期 |
紅樓疑見白毫光,寺逼宸居福盛唐。支遁愛山情謾切,曇摩泛海路空長。經聲夜息聞天語,爐氣晨飄接御香。誰謂此中難可到,自憐深院得徊翔。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
この美しい、なまめかしい朱塗の高樓に、おや、神々しい御佛の白毫相の光がさしているとは、ちょっと意外な感じ。お寺といっても御所の間近のこと、まことに榮えゆく唐の御世に幸福あれかしと祈る道場である。
むかしの高僧支遁は清浄の境地をもとめて山を愛するあまり、さらに深い山を買って住みたいといったとか。また、曇摩とおっしゃる天竺の高僧は、はるばる海を渡って布教の土地をたずねまわられた。この世ながら神聖な場所があろうとはお氣がつかなかったようだ。夜ふけて讀經の聲がやんだとき、もったいなくも、至尊のお言葉が聞える。あさになると寶爐から煙がたちのぼり、宮中の秘香がそれにまじって漂うてくる。
これこそ下々のものが容易に近づくことのできない雲の上といえようが、自分が、この 奥深い内道場に自由に出入りすることができたのは、われながらありがたく思っている。
紅樓(こうろう) 疑(うたが)ひ見(み)る 白毫光(びゃくがうくわう)。 寺(てら)は宸居(しんきょ)に逼(せま)りて 盛唐(せいとう)に福(さいはひ)す。 支遁(しとん) 山(やま)を愛(あい)して情漫(じゃうまん)に切(せつ)に、 曇摩(どんま) 海(うみ)に泛(うか)んで 路(みち)空(むな)しく長(なが)し。 經聲(きゃうせい)夜(よる)息(や)んで 天語(てんご)を聞(き)き、 鑪氣(ろき)晨(あした)に飄(ひるがへ)って御香(ぎょかう)に接(せっ)す。 誰(たれ)か謂(い)ふ、此(こ)の中(うち)到(いた)る可(べ)きこと難(かた)し と、 自(みづか)ら憐(あは)れむ、深院(しんえん) 徊(くわい)翔(しゃう)するを得たるを。 紅樓 疑ひ見る 白毫光。 寺は宸居に逼りて 盛唐に福す。 支遁 山を愛して情漫に切に、 曇摩 海に泛んで 路空しく長し。 經聲夜息んで 天語を聞き、 鑪氣晨に飄って御香に接す。 誰か謂ふ、此の中到る可きこと難し と、 自ら憐れむ、深院 徊翔するを得たるを。 |