題名: | 晚次樂鄉縣 |
作者: | 陳子昂 |
故鄉杳無際,日暮且孤征。川原迷舊國,道路入邊城。野戍荒煙斷,深山古木平。如何此時恨,噭噭夜猿鳴。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
故鄉(こきょう) 杳(えう)として際無(さいな)し。
日暮(じつぼ) 且(かつ) 孤征(こせい)す。
川原(せんげん) 舊國(きうこく)に迷(まよ)ひ、
道路(だうろ) 邊城(へんじゃう)に入(い)る。
野戍(やじゅ) 荒煙斷(くわうえんた)え、
深山(しんざん) 古木平(こぼくたひら)かなり。
如何(いかん)せん此(こ)の時(とき)の恨(うらみ)、
噭噭(けうけう)として夜(や)猿鳴(ゑんな)く。
故鄉 杳として際無し。 日暮 且 孤征す。 川原 舊國に迷ひ、 道路 邊城に入る。 野戍 荒煙斷え、 深山 古木平かなり。 如何せん此の時の恨、 噭噭として夜猿鳴く。 故郷は遙かに遠くなってしまった。自分は日暮れがた、たった一人旅をつづけている。ここらは古い楚の國の領分だが、そう思って眺めてみても、ただ野原がひろがり川が流れているだけで、どこがどこやらその遺跡をたずねるすべもない。道路はいつのまみか田舍町の城壁にはいってゆく。昔のとりでらしいところは荒れはてて火の氣もない。深山のことなので古い大木が密生し、その森のこずえがきりそいだように平らになって見える。ああ、こんなところで、こんな晩に、キッキッとさけびたてる群れ猿の鳴き聲を聞くのはやりきれない思いだ。 |