題名: | 吳宮怨 |
作者: | 衛萬 |
君不見吳王宮閣臨江起,不見珠簾見江水。曉氣晴來雙闕間,潮聲夜落千門裏。句踐城中非舊春,姑蘇臺下起黃塵。祗今唯有西江月,曾照吳王宮裏人。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
君見(きみみ)ずや吴王宮(ごわうきゅう)閣江(かくかう)に臨(のぞ)んで起(おこ)るを。
珠簾(しゅれん)を捲(ま)かずして江水(ぁうすゐ)を見(み)る。
曉(げう)氣晴(きは)れ來(きた)る雙闕(そうけつ)の間(あひだ)、
潮聲(てうせい) 夜落(よるお)つ千門(せんもん)の裏(うら)。
句踐(こうせん)城中(じゃうちゅう)舊春(きゅうしゅん)に非(あら)ず。
姑蘇(こそ)臺下(だいかく)黄塵(わうぢん)を起(おこ)す。
祇今惟(ただいまただ) 西江(せいかう)の月(つき)のみ有(あ)って、
曾(かつ)て照(て)らす吳王宮裏(ごわうきゅうり)の人(ひと)。
君見ずや吴王宮閣江に臨んで起るを。 珠簾を捲かずして江水を見る。 曉氣晴れ來る雙闕の間、 潮聲 夜落つ千門の裏。 句踐城中舊春に非ず。 姑蘇臺下黄塵を起す。 祇今惟 西江の月のみ有って、 曾て照らす吳王宮裏の人。 まあ、ごらんなさい、あの吳王の宮殿樓閣が川ぞいにそびえているのを。ここの高殿の上から眺めると、珠のすだれをまきあげなくても、その下から、ちらちらと、水の流れが見えるのです。ここは非常に高いからです。 夜明けともなると、東の晴れた空の光が、高い雙闕の甍に映って、ほのぼのと白み そめてきます。夜ともなると、ここは水の都とたたえられたところだから、あたりが 静かになって、潮の落ちてゆく音が宮中の千門、たくさんの門に反響して聞こえます。 廣大なかまえの、この宮殿!しかしそれは昔の夢でした。 この國をほろぼした越王句踐の會稽さえ、今は跡方もなくなって、昔の春の さまをしのぶことはできません。まして、この吳の國の最後の王、夫差が、句踐の軍隊に包園されて自殺したという姑蘇臺は、黄色い塵がまき起こっています。ただ今あるものとては、ただ西の川の上にかかっている月。この月だけは、その昔、吳王の後宮にときめいた人―あの絶世の美女西施を照らしてきた同じ月ですが、彼女のあでやかな姿はかげもかたちもありません。 |