題名: | 鷓鴣 |
作者: | 鄭谷 |
暖戲煙蕪錦翼齊,品流應得近山雞。雨昏青草湖邊過,花落黃陵廟裏啼。遊子乍聞征袖溼,佳人纔唱翠眉低。相呼相應湘江闊,苦竹叢深春日西。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
春の暖かさにさそわれた鷓鴣が、緑にかすむ草原に戯れつつ、美しい翼を斉えて飛ぶ。鳥としての品格を諭ずれば、きっと$あの美しい羽で有名な$錦鶏に迫ることが、充分できよう。春雨が暗く降りしきるなか、$楚の詩人屈原が放浪した$青草湖のうえを$悲しげに鳴きながら湖面にその影をやどしつつ$飛びすぎ、春の花々が散りかかるとき、$湘江に身を投げて死んだ二妃をまつる$黄陵廟のなかで$悲痛に$鳴きしきる。道ゆく遊子は、ふとその声を聞きつけて、$思わず涙で$征衣の袖をぬらすほどであり、宴席の美しい歌妓は、「鷓鴣の詞」を歌いはじめたかと思うや、$早くもうつむいて$その美しい眉をひそめて嘆く始末。互いに呼びかわす鷓鴣の声が、絶え間なくこだまする、湘江の曲がれる岸辺のほとり。苦竹の叢が深々と広がり、春の日も$いつしか$西に傾いて$そのねぐらとなる苦竹の影に沈み$ゆく。
暖(あたた)かく煙蕪(えんぶ)に戯(たわむ)れて 錦翼(きんよく)斉(ひと)し 品流(ひんりゅう) 応(まさ)に山鶏(さんけい)に近(ちか)づくを得(う)べし 雨昏(あめくら)くして 青草湖辺(せいそうこへん)に過(よぎ)り 花(はな)落(お)ちて 黄陵廟裏(こうりょうびょうり)に啼(な)く 遊子(ゆうし) 乍(たしま)ち聞(き)いて 征袖(せいしゅう)湿(うるお)い 佳人(かじん) 纔(わず)かに唱(うた)いて 翠眉(すいび)低(た)る 相(あ)い呼(よ)び相(あ)い喚(よ)ぶ 湘江(しょうこう)の曲(くま) 苦竹(くちく) 叢深(むらふか)くして 春日(しゅんじつ)西(にし)す 暖かく煙蕪に戯れて 錦翼斉し 品流 応に山鶏に近づくを得べし 雨昏くして 青草湖辺に過り 花落ちて 黄陵廟裏に啼く 遊子 乍ち聞いて 征袖湿い 佳人 纔かに唱いて 翠眉低る 相い呼び相い喚ぶ 湘江の曲 苦竹 叢深くして 春日西す |