題名: | 蜀中九日 |
作者: | 王勃 |
九月九日望鄉臺,他席他鄉送客杯。人情已厭南中苦,鴻雁那從北地來。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
九月九日、故郷を望んで高臺に登った。重陽の節句の行事でもあるが、今日は、よその國の、よその宴會で、旅だつ人の送別を兼ねて酒杯を酌んでいる。わたしはもう南の土地の味氣なさに飽いてしまった。それなのに雁のむれは、なんで北の土地を見棄ててこちらへやって來るのだろう。
九月(きうげつ)九日(きうじつ)望鄉臺(ばうきゃうだい)、 他席(せきた)他鄉(たきゃう) 客(かく)を送(おく)る杯(さかづき)。 人情(にんじゃう) 已(すで)に南中(なんちゅう)の苦(く)を厭(いと)ふ。 鴻雁(こうがん) 那(なん)ぞ北地(ほくち)より來(きた)る。 九月九日望鄉臺、 他席他鄉 客を送る杯。 人情 已に南中の苦を厭ふ。 鴻雁 那ぞ北地より來る。 重陽の節句には高家に登って菊花の酒を飲み一年中の厄ばらいをするのが當時の風習であった。今日はその節句であるから、余もまたこの望郷墓に登って見たが、臺の名によってそぞろに思郷の情を催している折しも、隣座敷には他國の人が送別の宴を開いているのを見て、一層その情をそそられた。余等北人の情としては、かかる南方蜀の地に滯在するつらさにはもう厭きはて、一日も早く北に歸りたいと思っているのに、あの雁どもはなぜ北の方からわざわざこんな南へ飛んでくるのであろうか。 九月(きうげつ)九日(きうじつ)望鄉臺(ぼうきゃうだい)、他席(たせき)他鄉(たきゃう)客(かく)を送(おく)るの杯(はい)。人情(にんじゃう)已(すで)に南中(なんちゅう)の苦(く)を厭(いと)ふ、鴻雁(こうがん)那(なん)ぞ北地(ほくち)より來(きた)る。 九月九日望鄉臺、他席他鄉客を送るの杯。人情已に南中の苦を厭ふ、鴻雁那ぞ從北地より來る。 |