題名: | 酬趙二侍御使西軍贈兩省舊僚之作 |
作者: | 張九齡 |
石室先鳴者,金門待制同。操刀嘗願割,持斧竟稱雄。應敵兵初起,緣邊虜欲空。使車經隴月,征斾繞河風。忽枉兼金訊,非徒秣馬功。氣清蒲海曲,聲滿柏臺中。顧己塵華省,欣君震遠戎。明時獨匪報,嘗欲退微躬。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
御史臺では先頭をきって名をあらわした君だが、わたしとはもともと同時に試験に及第して任官を待った仲間で、昔風にいえば、金馬門待詔という身分であった。官界政界に出て、刀で物を切るように、すっきりした手腕をあらわす機會を待っていられたのが、今や天子からさずけられた斧をもって從軍し、雄才を發揮されることになった。わが軍は侵略をなすものではなく、外敵の攻撃に應じてたったもので、邊境の地帶からこの侵入の蠻族を一掃するのも程遠くなかろう。君は使者の車に乗って隴山の月かげの下をすすみ、君の旗じるしを黄河の川風になびかせながら、めぐりめぐってすすんでゆく。そう思って案じていたら、突然、君のところから黄金のように貴重な存問のお手紙を頂戴し、みごとな詩を贈ってよこされた。してみれば、軍馬に草をやって縦横に疾駆して、武功をたてるだけではなく、餘裕綽々として文雅風流の道にも心を寄せられることは、敬服のいたりである。蒲昌海のあたりも静かになって兵氣も消えるだろうし、君の名聲は御史臺に満ちわたるであろう。しかし自分自身のことをふりかえってみると、碌々としてなんの働きもなく中書省の要職をけがしていることは恥ずかしい話で、それにひきかえ、君が遠くの蠻族にまでも威をふるわれるいさおおしは、まことに喜ばしいことである。今のような聖明の御世に天子の恩にむくいることもできずにいることは申しわけなく思っているので、いつも機會があれば退官して無能の責めをまぬがれたいと思っている。
石室(せきしつ) 先鳴(せんめい)の者(もの)、金門(きんもん) 待制(たいせい)同(おな)じ。刀(かたな)を操(と)りては常(つね)に割(さ)かんことを願(ねが)ふ。斧(をの)を持しては竟(つひ)に雄(ゆう)と稱(しょう)す。敵(てき)に應(おう)じて兵(へい)初(はじ)めて起(た)つ。邊(へん)に緣(そ)うて虜空(りょむな)しからんと欲(ほつ)す。使者(ししゃ) 朧月(ろうげつ)を經(へ)、征旆(せいはい) 河風(かふう)を繞(めぐ)る。忽(たちま)ち兼金(けんきん)の訊(じん)を枉(ま)ぐ。 徒(ただ)に馬(うま)に秣(まぐさか)ふ功(こう)のみに非(あら)ず。氣(き)は清(す)む 蒲海(ほかい)の曲(ほとり)。聲(こえ)は滿(み)つ 柏臺(はくだい)の中(うち)。己(おのれ)が華省(くわしゃう)を塵(けが)すを顧(かへ)み、君(きみ)が遠戎(えんじゅ)を震(ふる)はすを欣(よろこ)ぶ。明時(めいじ)、獨(ひと)り報(ほう)ずるに匪(あら)ず。常(つね)に微躬(びきゆう)を退(しりぞ)けんと欲(ほつ)す。 石室 先鳴の者、金門 待制同じ。刀を操りては常に割かんことを願ふ。斧を持しては竟に雄と稱す。敵に應じて兵初めて起つ。邊に緣うて虜空しからんと欲す。使者 朧月を經、征旆 河風を繞る。忽ち兼金の訊を枉ぐ。 徒に馬に秣ふ功のみに非ず。氣は清む 蒲海の曲。聲は滿つ 柏臺の中。己が華省を塵すを顧み、君が遠戎を震はすを欣ぶ。明時、獨り報ずるに匪ず。常に微躬を退けんと欲す。 |