題名: | 望月懷遠 |
作者: | 張九齡 |
海上生明月, 天涯共此時。 情人怨遙夜, 竟夕起相思。 滅燭憐光滿, 披衣覺露滋。 不堪盈手贈, 還寢夢佳期。 | |
英譯: |
Over the sea the round moon rises bright,
And floods the horizon with its silver light.
In absence lovers grieve that nights should be,
But all the livelong night I think of thee.
I blow my lamp out to enjoy the rest,
And shake the gathering dewdrop from my vest.
Alas! I cannot share with thee these beams.
So lay me down to seek thee in my dreams.
Bright moon born of the sea, at sky's farthest edges we share it now. A man of heart, hating the long night, till the end of evening wakeful, remembering, I put out the lamp, marvel at the moonlight's fullness, don a cloak, aware of the dampness of dew. No way to send my gift, this handful of moonbeams, I go back to bed, dreaming of good times. Bright moon born of the sea, at sky's farthest edges we share it now. A man of heart, hating the long night, till the end of evening wakeful, remembering; I put out the lamp, marvel at the moonlight's fullness, brush $(my)$ cloak, learning the dampness of dew. No way to send $(my gift)$, $(this)$ handful of moonbeams, I go back to bad, dreaming of good times. The moon, grown full now over the sea, Brightening the whole of heaven, Brings to separated hearts The long thoughtfulness of night.... It is no darker though I blow out my candle. It is no warmer though I put on my coat. So I leave my message with the moon And turn to my bed, hoping for dreams. |
日譯: |
海上(かいじょう) 明月(めいげつ)生(しょう)し、天涯(てんがい) 此(こ)の時(とき)を共(とも)にせん
情人(じょうじん) 遙夜(ようや)を怨(うら)み、竟夕(きょうせき) 相思(そうし)を起(お)こす
燭(しょく)を滅(めっ)しては光(ひかり)の満(み)つるを憐(あわ)れみ、衣(ころも)を披(ひろ)きては露(つゆ)の滋(しげ)きを覚(きと)る
手(て)に盈(み)たして贈(おく)るに堪(た)へず、還(ま)た寝(い)ねて佳期(かき)を夢(ゆめ)みん
海上 明月生じ、天涯 此の時を共にせん 情人 遙夜を怨み、竟夕 相思を起こす 燭を滅しては光の満つるを憐れみ、衣を披きては露の滋きを覚る 手に盈たして贈るに堪へず、還た寝ねて佳期を夢みん 海のかなたから明るい月が上っているが、遥かに遠くにあって君は、このわたしとこの時を同じくしていようか。人としての情を持つ身のわたしは、秋の夜長をうらめしく思いつつ、一晩中、君を思う心をかき立てている。 ともし火を消しては、月光のあたりに満ちわたるのをしみじみと美しいとめでて、着物もひろげては、それに触れて夜露がしとどであるのに気がつく。月光を手の中にいっぱいに満たして、それを君に贈るわけにはいかない。今はまた寝所に入って、君と会うことのできるよい日を夢に見よう。 海(うみ)のかなたから明(あか)るい月(つき)が上(のぼ)っているが、遥(はる)かに遠(とお)くにあって君(きみ)は、このわたしとこの時(とき)を同(おな)じくしていようか。人(ひと)としての情(じょう)を持(も)つ身(み)のわたしは、秋(あき)の夜長(よなが)をうらめしく思(おも)いつつ、一晩中(ひとばんじゅう)、君(きみ)を思(おも)う心(こころ)をかき立(た)てている。 ともし火(び)を消(け)しては、月光(げっこう)のあたりに満(み)ちわたるのをしみじみと美(うつか)しいとめでて、着物(きもの)もひろげては、それに触(ふ)れて夜露(よつゆ)がしとどであるのに気(き)がつく。月光(げっこう)を手(て)の中(なか)にいっぱいに満(み)たして、それを君(きみ)に贈(おく)るわけにはいかない。今(いま)はまた寝所(ねどこ)に入(はい)って、君(きみ)と会(あ)うことのできるよい日(ひ)を夢(ゆめ)に見(み)よう。 秋の長夜を怨みつつ ねもやらず君を思う ともし火を消して みちわたる月の光をめで 衣を払って おく露の滋きを覚える この月の光を手にとって 君におくるすべもない せめては暫しまどろんで 君と会う夢でも見よう 海上 明月生(しょう)じ 天涯(てんがい) 此(こ)の時を共にす 情人(じょうじん) 遙夜(ようや)を怨(うら)み 竞夕(きょうせき) 起(た)って相思(あい)う 燭を滅して光の満つるを憐(あわ)れみ 衣(ころも)を披(はら)って露の滋(しげ)きを覚ゆ 手に盈(み)ちて贈るに堪(た)えず 還(かえ)り寝(い)ねて佳期(かき)を夢みむ 海上からのぼった明るい月を 遠いかのひとも眺めていようか 海上 明月生じ 天涯 此の時を共にす 情人 遙夜を怨み 竞夕 起って相思う 燭を滅して光の満つるを憐れみ 衣を披って露の滋きを覚ゆ 手に盈ちて贈るに堪えず 還り寝ねて佳期を夢みむ 海上からのぼった明るい月を 遠いかのひとも眺めていようか 海の上に明月がポッカリ浮かんだ。 空の果てでもこの時この月光を共にしているはず。 はるか遠くのいとしい人はこの長夜を恨んで、 一晩中わたしのことを思っていよう。 ともし火を消してあたりに満ちわたる月光をめで、 着物をはおって外に出ると露がしとどなのを感じる。 手いっぱいにこの光をすくって贈りたいが、できはしない。 また寝床にもどって楽しい逢瀬を夢見ることにしよう。 海上(かいじょう) 明月(めいげつ)生(しょう)じ 天涯(てんがい) 此(こ)の時(とき)を共(とも)にす 情人(じょうじん) 遥夜(ようや)を怨(うら)み 竟夕(きょうせき) 相思(そうし)を起(お)こす 燭(しょく)を滅(めつ)して光(ひかり)の満(み)つるを憐(あわ)れみ 衣(ころも)を披(かぶ)りて露(つゆ)の滋(しげ)きを覚(おぼ)ゆ 手(て)に盈(み)たして贈(おく)るに堪(た)えず 還(ま)た寝(い)ねて佳期(かき)を夢(ゆめ)みん 海上 明月生じ 天涯 此の時を共にす 情人 遥夜を怨み 竟夕 相思を起こす 燭を滅して光の満つるを憐れみ 衣を披りて露の滋きを覚ゆ 手に盈たして贈るに堪えず 還た寝ねて佳期を夢みん |