題名: | 感遇十二首 四 |
作者: | 張九齡 |
孤鴻海上來,池潢不敢顧。側見雙翠鳥,巢在三珠樹。矯矯珍木巔,得無金丸懼。美服患人指,高明逼神惡。今我遊冥冥,弋者何所慕。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
鴻(こう)がただ一羽(いちわ)
海(うみ)の上(うえ)から飛(と)んでくる
小(ちい)さな池(いけ)など目(め)もくれぬ
見(み)れば二羽(にわ)の翡翠(かわせみ)が
三珠(さんしゅ)の樹(き)に巣(す)をかけて
さも得意(とくい)そうにしているが
あの高(たか)い玉樹(ぎょくじゅ)の梢(こずえ)に
弾丸(たま)のおそれはあるまいか
美服(びふく)は人(ひと)にねたまれる
高位(こうい)は鬼神(きしん)に僧(にく)まれる
いまこそ私(わたし)は悠(ゆう)々と
はてなき空(そら)を飛(と)んでゆけば
狩人(かりゅうど)とてもこの上(うえ)は
追(お)っかけようとしはすまい
鴻がただ一羽 海の上から飛んでくる 小さな池など目もくれぬ 見れば二羽の翡翠が 三珠の樹に巣をかけて さも得意そうにしているが あの高い玉樹の梢に 弾丸のおそれはあるまいか 美服は人にねたまれる 高位は鬼神に僧まれる いまこそ私は悠々と はてなき空を飛んでゆけば 狩人とてもこの上は 追っかけようとしはすまい 孤鴻(ここう) 海上(かいじょう)より来(き)たる 池潢(ちこう) 敢(あ)えて顧(かえり)みず 側(かたわら)に見(み)る 双翠鳥(そうすいちょう)の 巣(す)くうて 三珠樹(さんしゅじゅ)に在(あ)るを 矯矯(きょうきょう)たる珍木(ちんぼく)の巓(いただき) 金丸(きんがん)の懼(おそれ)無(な)きを得(え)むや 美服(びふく)は人(ひと)の指(ゆびさ)さむことを患(うれ)え 高明(こうめい)は神(かみ)の悪(にく)みに逼(せま)る 今(いま)我(わ)れ冥冥(めいめい)に遊(あそ)ばば 弋者(よくしゃ) 何(なん)の慕(した)う所(ところ)ぞ 孤鴻 海上より来たる 池潢 敢えて顧みず 側に見る 双翠鳥の 巣くうて 三珠樹に在るを 矯矯たる珍木の巓 金丸の懼無きを得むや 美人は人の指さむことを患え 高明は神の悪みに逼る 今我れ冥冥に遊ばば 弋者 何の慕う所ぞ 群れを離れたおおとりが、たった一羽、海の方から飛んできた。 池や水たまりなどには目もくれない。 ふと見ると、かたわらに美しい木があって、そこに二羽のかわせみが巢をつくって棲んでいるではないか。 いかにも得意げに、そのめずらしい木のてっぺんで、ふんぞりかえっているが、 彈丸でうち落とされる心配がないとはいえまい。 おおどりは、ひとり考えた。人間の世界でも、あまり美しい服装をしていると、人からうしろ指をさされてかれこれといわれる。 あまり高大で明るい家は、鬼神の憎しみを受けて禍をまねくことがある。 自分は今、遠い大空へ飛んで行ってしまうのだ。 「いぐるみ」で鳥を追いかけてとる連中でも、彼らの目の屆かないところだから、おれにうるさくつきまとうことはできないだろう。 孤鴻(ここう)海上(かいじやう)より來(きた)る。 池潢(ちくわう) 敢(あへ)て顧(かへり)みず。 側(かたはち)に見(み)る雙翠鳥(さうすゐてう)。 巢(すぐ)うて三株樹(さんしゅじゅ)に在(あ)り。 矯矯(けうけう)たる珍木(ちんぼく)の顛(いただき)、 金丸(きんわん)の懼(おそれ)なきを得(え)んや。 美服(びふく)は人(ひと)の指(ゆびさ)さんことを患(うれ)ひ、 高明(かうめい)は神(かみ)の惡(みく)しみに逼(せま)る。 今(いま)、我(われ) 冥冥(めいめい)に遊(あそ)ばば、 弋者(よくしゃ) 何(なん)の慕(した)ふところぞ。 孤鴻海上より來る。 池潢 敢て顧みず。 側に見る雙翠鳥。 巢うて三株樹に在り。 矯矯たる珍木の顛、 金丸の懼なきを得んや。 美服は人の指さんことを患ひ、 高明は神の惡しみに逼る。 今、我 冥冥に遊ばば、 弋者 何の慕ふところぞ。 |