題名: | 野望 |
作者: | 王績 |
東皐薄暮望,徙倚欲何依。樹樹皆秋色,山山唯落暉。牧人驅犢返,獵馬帶禽歸。相顧無相識,長歌懷采薇。 | |
英譯: |
At eve, I stand upon the bank and gaze;
Restless, I know not where my bark may rest;
I see the forest through the autumn haze;
I see the hills of radiance all divest;
I see the herdsman homing o'er the lae;
I see the huntsman's laden horse return...
Alas no loved one comes to beckon me!—
I sit and croon the thoughts that in me burn.
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日譯: |
東皐(とうかう) 薄暮(はくぼ)に望(のぞ)む。
徙倚(しい)として何(いづ)くに依(よ)らんと欲(ほっ)する。
樹樹(きぎ) 皆秋色(みなしうしょく)。
山山(やまやま) 惟(ただ)々落暉(らくき)。
牧人(ぼくじん) 犢(とく)を驅(か)って返(かへ)り、
獵馬(れふば) 禽(きん)を帶(お)びて歸(かへ)る。
相顧(あひかへりみ)るに相識無(さうしきな)し。
長歌(ちゃうか) 采薇(さいび)を懐(おも)ふ。
東皐 薄暮に望む。 徙倚として何くに依らんと欲する。 樹樹 皆秋色。 山山 惟々落暉。 牧人 犢を驅って返り、 獵馬 禽を帶びて歸る。 相顧るに相識無し。 長歌 采薇を懐ふ。 東のかたの澤のほとりで、夕暮れに見わたせば、たよりなく心細く、ただ行きつもどりつ、うろうろするばかり。木々はみな葉の色が黄ばんで、すっかり秋のけしきに なった。山々は見えるかぎりただ夕日の光をあびてものさびしい。おりしも、どこか らか牛飼は小牛をひいて家路につき、獵師は獲物を馬につけて歸ってゆく。しかし、 どちらを向いても、自分の知り合いというものは見あたらない。みんなどっかへ徵發。されて行ってしまった。こんなところに隱居している身の上は、まったく孤獨である。ひとり大聲で歌をうたっていると、昔の人がわらびをとった故事が思い出されてくる。 |