題名: | 初到江州 |
作者: | 白居易 |
潯陽欲到思無窮,庾亮樓南湓口東。樹木凋疎山雨後,人家低濕水煙中。菰蔣餧馬行無力,蘆荻編房臥有風。遙見朱輪來出郭,相迎勞動使君公。 | |
英譯: |
We are almost come to Hsün-yang: how my thoughts are stirred
As we pass to the south of Yü Liang's tower and the east of P'ēn Port.
The forest trees are leafless and withered, -after the mountain rain;
The roofs of the houses are hidden low among the river mists.
The horses, fed on water grass, are too weak to carry their load;
The cottage walls of wattle and thatch let the wind blow on one's bed.
In the distance I see red-wheeled coaches driving from the town-gate;
They have taken the trouble, these civil people, to meet their new Prefect!
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日譯: |
潯陽が近づき、思いは果てなく胸に溢れる。そこは庾亮楼の南、湓口の東の地。
山の雨が上がり、葉の落ちた木々がわずかに並ぶ。水辺の靄に民家はじめじめしている。
マコモをまぐさにする馬は足取りも弱々しい。アシで葺いた家は寝ても風が吹き込む。
遠くに見えるは城郭を出る朱塗りの車。あれはご苦労にも出迎えてくださる太守どの。
潯陽(じんよう)に到(いた)らんと欲(ほっ)して思(おも)い窮(きわ)まり無(な)し 庚亮楼(ゆりょうろう)の南(みなみ) 湓口(ぼんこう)の東(ひがし) 樹木(じゅもく)は凋疏(ちょうそ) 山雨(さんう)の後(のち) 人家(じんか)は低湿(ていしつ) 水煙(すいえん)の中(なか) 菰蔣(こしょう) 馬(うま)に餧(く)わせて 行(ゆ)くも力(ちから)無(な)く 蘆荻(ろてき) 房(ぼう)を編(あ)みて 臥(ふ)すも風(かぜ)有(あ)り 遙(はる)かに見(み)る 朱輪(しゅりん)来(き)たりて郭(かく)を出(い)でしを 相(あ)い迎(むか)えて労動(ろうどう)す 使君公(しくんこう) 潯陽に到らんと欲して思い窮まり無し 庚亮楼の南 湓口の東 樹木は凋疏 山雨の後 人家は低湿 水煙の中 菰蔣 馬に餧わせて 行くも力無く 蘆荻 房を編みて 臥すも風有り 遙かに見る 朱輪来たりて郭を出でしを 相い迎えて労動す 使君公 潯陽$江州$に到着するまぎわとなると感無量である。 このまちは庾亮の建てた楼の南、湓水の河口の東にある。 樹木は冬の山雨のあとなので枯れて葉はまばらだ。 人家はもやの中に低くじめじめして立っている。 マコモを食う痩せ馬は歩きかたにも力がなく アシやオギで編んで作った室はねていると風がはいる。 はるか向こうに朱色の馬車が城門を出るのが見えたが 太守さまだとお迎えに大さわぎだ。 潯陽(じんやう)に到(いた)らんとして思窮(おもひきはま)りなし 庚亮楼(ゆりゃうろう)の南(みなみ) 湓口(ぼんこう)の東(ひがし)。 樹木(じゅもく)が凋(か)れ疏(まばら)なり山雨(さんう)の後(のち) 人家(じんか)低(ひく)く濕(うるほ)ふ水烟(すいえん)の中(うち) 菰蔣(こしゃう)の餧馬(たいば)は行(ゆ)くに力(ちから)なく 蘆荻(ろてき)の編房(へんばう)は臥(ふ)して風(かぜ)あり 遙(はるか)に見(み)る朱輪(しゅりん)来(きた)りて郭(くかく)を出(い)づるを 相迎(あひむか)へて労動(ろうどう)す使君公(しくんこう)と。 潯陽に到らんとして思窮りなし 庚亮楼の南 湓口の東。 樹木が凋れ疏なり山雨の後 人家低く濕ふ水烟の中 菰蔣の餧馬は行くに力なく 蘆荻の編房は臥して風あり 遙に見る朱輪来りて郭を出づるを 相迎へて労動す使君公と。 |