題名: | 寄元九 |
作者: | 白居易 |
身爲近密拘,心爲名檢縛。月夜與花時,少逢杯酒樂。唯有元夫子,閑來同一酌。把手或酣歌,展眉時笑謔。今春除御史,前月之東洛。別來未開顏,塵埃滿尊杓。蕙風晚香盡,槐雨餘花落。秋意一蕭條,離容兩寂莫。況隨白日老,共負青山約。誰識相念心,韝鷹與籠鶴。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
わたしは天子の近臣として身を束縛され、精神も官吏の名でしばられている。月夜にも花の盛りにも、酒のたのしみにはめったに会えなかった。ただ元稹どのだけが、おりを見ては来ていっしょに飲んでくれた。手をとりあってうたうこともあり、きげんよく笑談をいってくれた。今年の春、彼は監察御史に任ぜられ、先月、洛陽に去った。一別以来わたしは笑うこともなく、酒樽にも塵がつもった。いまやかおり高い蕙草も花ちり、エンジュの花もなくなった。秋のけはいがさびしいばかりで、別れたお互いの顔もそのとおりだろう。そのうえ一日一日と老いこむし、青山に隠退しようとの約束もはたせない。
身(み)は近密(きんみつ)に拘(こう)せられ、心(こころ)は名檢(めいけん)に縛(ばく)せらる。月夜(げつや)と花時(くわじ)と、盃酒(はいしゅ)の樂(たのしみ)に逢(あ)ふこと少(まれ)なり。ただ元夫子(げんふうし)のみあり、聞(かん)に來(きた)りて一酌(いっしゃく)を同(とも)にす。手(て)を把(と)りてあるひは酣歌(かんか)し、眉(まゆ)を展(の)べて時(とき)に笑謔(せうぎゃく)す。今春(こんしゅん) 御史(ぎょし)に除(じょ)せられ、前月(ぜんげつ) 東洛(とうらく)に之(ゆ)く。別(わか)れてよりいまだ顔(かお)を開(ひら)かず、塵埃(ちんあい) 樽杓(そんしゃく)に滿(み)つ。蕙風(けいふう) 晩香(ばんかう)盡(つ)き、槐雨(くわいう) 餘花(よくわ)落(お)つ。秋意(しうい)ひたすら蕭條(せうでう)、離容(りよう)ふたつながら寂寞(せきばく)。いはんや白日(はくじつ)に隨(したが)づて老(お)い、ともに青山(せいざん)の約(やく)に負(そむ)くをや。たれか識(し)らん相念(あひおも)ふ心。鞲鷹(こうよう)と籠鶴(ろうかく)と。 身は近密に拘せられ、心は名檢に縛せらる。月夜と花時と、盃酒の樂に逢ふこと少なり。ただ元夫子のみあり、聞に來りて一酌を同にす。手を把りてあるひは酣歌し、眉を展べて時に笑謔す。今春 御史に除せられ、前月 東洛に之く。別れてよりいまだ顔を開かず、塵埃 樽杓に滿つ。蕙風 晩香盡き、槐雨 餘花落つ。秋意ひたすら蕭條、離容ふたつながら寂寞。いはんや白日に隨づて老い、ともに青山の約に負くをや。たれか識らん相念ふ心。鞲鷹と籠鶴と。 |