題名: | 自吟拙什因有所懷 |
作者: | 白居易 |
嬾病每多暇,暇來何所爲。未能拋筆研,時作一篇詩。詩成澹無味,多被衆人嗤。上怪落聲韻,下嫌拙言詞。時時自吟詠,吟罷有所思。蘇州及彭澤,與我不同時。此外復誰愛,唯有元微之。謫向江陵府,三年作判司。向去二千里,詩成遠不知。 | |
英譯: |
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When the poem is made it is slight and flavourless,
A thing of derision to almost every one.
Superior people will be pained at the flatness of the metre;
Common people will hate the plainness of the words
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Illness and idleness give me much leisure. What do I do with my leisure, when it comes? I cannot bring myself to discard inkstone and brush; Now and then I make a new poem. When the poem is made, it is slight and flavourless, A thing of derision to almost every one. Superior people will be pained at the flatness or the metre; Common people will hate the plainness of the words. I sing it to myself, then stop and think about it... The Prefects of Soochow and P'ēng-tsē Would perhaps have praised it, but they died long ago. Who else would care to hear it? No one to-day except Yüan Chēn, And he is banished to the City of Chiang-ling, For three years an usher in the Penal Court. Parted from me by three thousand leagues He will never know even that the poem was made. |
日譯: |
なまけもので多病でいつもひまだが、ひまがあれば何をしているか。筆と硯をすてきれないで、ときどき詩を作っている。その詩はできあがっても味のないもので、みんなのもの笑いになっている。そこで詩そのものの評判をわるくしないかと思い、また下手なのがいやになる。それでも時には自分でうたってみ、吟じおわっていろいろのことを思う。「章蘇州と陶彭沢とは尊敬しているが、時代がちがうのが残念だ。そのほかに好きな詩人といえば、元微之だけだ。かれは流されて江陵府にゆき、この三年間は判司の役だ。わたしと二千里もはなれているので、詩ができても互いに知るよしもない」などと。
懶病(らんびゃう)つねに暇(いとま)おほし、暇(いとま)ありてこのかた何(なん)のなす所(ところ)ぞ。いまだ筆硯(ひつけん)を拋(なげう)つあたはず、時(とき)に一篇(いつべん)の詩(し)を作(つく)る。詩(し)成(な)れども淡(たん)として味(あぢはひ)なく、多(お)く眾人(しゅうじん)に嗤(わら)はる。上(かみ)は聲韻(せいえん)を落(おと)すを怪(あやし)み、下(しも)は言詞(げんし)の拙(つたな)きを嫌(きら)ふ。時時(ときどき)みづから吟詠(ぎんえい)し、吟(ぎん)じ罷(をは)って思(おも)ふ所(ところ)あり。蘇州(そしう)と彭澤(はうたく)と、われと時(とき)を同(おなじ)じうせず。このほかまた誰(だれ)をか愛(あい)する、ただ元微之(げんびし)のみあり。謫(たく)せられて江陵府(かうりょうふ)に向(むか)ひ、三年(さんねん) 判司(はんし)となる。あひ去(さ)ること二千里(にせんり)、詩(し)成(な)れども遠(とほ)くして知(し)らず。 懶病つねに暇おほし、暇ありてこのかた何のなす所ぞ。いまだ筆硯を拋つあたはず、時に一篇の詩を作る。詩成れども淡として味なく、多く眾人に嗤はる。上は聲韻を落すを怪み、下は言詞の拙きを嫌ふ。時時みづから吟詠し、吟じ罷って思ふ所あり。蘇州と彭澤と、われと時を同じうせず。このほかまた誰をか愛する、ただ元微之のみあり。謫せられて江陵府に向ひ、三年 判司となる。あひ去ること二千里、詩成れども遠くして知らず。 |