題名: | 自題寫真 |
作者: | 白居易 |
我貌不自識,李放寫我真。靜觀神與骨,合是山中人。蒲柳質易朽,麋鹿心難馴。何事赤墀上,五年爲侍臣。況多剛狷性,難與世同塵。不惟非貴相,但恐生禍因。宜當早罷去,收取雲泉身。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
わたしの容貌は自分ではしらなかったが、李放がそのままにえがいてくれた。静かにその精神骨格を観察してみると、山中に住むべき人である。蒲柳の質とてながもちせず、心は野生の鹿のように馴れにくい。それがどうしたわけか宮廷で、五年も天子の侍臣となっている。また剛情でいこじで、世間の人とはつきあえない。高貴の相でないばかりか、わざわいを生ずるもとになる人相だ。早く辞職してしまって、山中の雲と泉のはたでまず身を全うしたいものだ。
わが貌(かたち)みづから識(し)らず、李放(りはう)わが真(しん)を寫(うつ)す。静(しづか)に神(しん)と骨(こつ)とを観(み)れば、まさにこれ山中(さんちゅう)のぺなるべし。蒲柳(ほりう) 質朽(しつく)ち易(やす)く、麋鹿(びろく) 心馴(こころな)れがたし。何事(なにごと)ぞ赤墀(せきち)の上(うへ)、五年(ごねん) 侍臣(じしん)となる。いはんや剛狷(がうけん)の性(せい)多(おほ)く、世(よ)と塵(ちり)を同(おな)じくしがたし。ただに貴相(きさう)にあらざるのみならず、ただ禍(わざはひ)を生(しゃう)ずるの因(いん)ならんを恐(おぞ)る。よろしくまさに早(はや)く罷(や)め去(さ)り、雲泉(うんせん)の身(み)を收取(しうしゅ)すべし。 わが貌みづから識らず、李放わが真を寫す。静に神と骨とを観れば、まさにこれ山中のぺなるべし。蒲柳 質朽ち易く、麋鹿 心馴れがたし。何事ぞ赤墀の上、五年 侍臣となる。いはんや剛狷の性多く、世と塵を同じくしがたし。ただに貴相にあらざるのみならず、ただ禍を生ずるの因ならんを恐る。よろしくまさに早く罷め去り、雲泉の身を收取すべし。 わたしはかつてが太白峯の前に住み たびたび仙遊寺へはまいった。そこのふちは黒い水がたたえられているが澄む時節があると底が見え また自雲のはれまから洞門が見える。林間にモミジをもやして酒の燗をし 石についた緑のこけをとって詩を書きつけたりしたものだ。悲しいかなもう昔の遊びの場所にゆけないのだ。いま菊の咲く時に君がそこへ帰ってゆくのがうらやましい。 かつて太白峯前(たいはくはうぜん)において住(ぢう)し しばしば仙遊寺裏(せんいうじり)にりて來(きた)る。黒水(こくすい)澄(す)む時(とき) 潭底(たんてい)出(い)で 白雲(はくうん)破(やぶ)るる處(ところ) 洞門(どうもん)開(ひら)く。林間(りんかん) 酒(さけ)を煖(あたた)めて紅葉(こうえふ)を焼(や)き 石上(せきじゃう) 詩(し)を題(だい)して綠苔(りょくたい)を掃(はら)ふ。惆悵(ちうちゃう)す舊遊(きういう)また到(いた)るなきを 菊花(きくくわ)の時節(じせつ) 君(きみ)の迴(かへ)るを羨(うらや)む。 かつて太白峯前において住し しばしば仙遊寺裏にりて來る。黒水澄む時 潭底出で 白雲破るる處 洞門開く。林間 酒を煖めて紅葉を焼き 石上 詩を題して綠苔を掃ふ。惆悵す舊遊また到るなきを 菊花の時節 君の迴るを羨む。 |