題名: | 新樂府 百鍊鏡 辨皇王鑒也 |
作者: | 白居易 |
百鍊鏡,鎔範非常規,日辰處所靈且祇。江心波上舟中鑄,五月五日日午時。瓊粉金膏磨瑩已,化爲一片秋潭水。鏡成將獻蓬萊宮,揚州長吏手自封。人間臣妾不合照,背有九五飛天龍。人人呼爲天子鏡,我有一言聞太宗。太宗常以人爲鏡,鑒古鑒今不鑒容。四海安危居掌內,百王治亂懸心中。乃知天子別有鏡,不是揚州百鍊銅。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
百度も鍛りきたえた鏡がある。その鋳型はふつうのものでなく正円であり 日時計で時間をはかるが鋳る場所もふしぎなところとした。揚子江のまん中で波にうかんだ舟の中で鋳て 時間も五月五日の正午とした。宝石の粉や金のあぶらでみがきあげ 一片の秋の淵の水そっくりになった。この鏡ができあがると蓬萊宮に献上しようとして 揚州の大都督府の次官が自分で箱にいれて封した。 これは世間一般の男女が顔をうつすべきものではない。裏に天子九五の位のシンボルである天を飛ぶ竜の模様がある。みな天子の鏡と呼んでいるが わたしは太宗皇帝から一言うけたまったことがある。太宗皇帝はいつも人を鏡となさり 古今のことをかがみとなさって姿をうつす鏡は用いないと。いかにも天下の安全と危険とをてのひらににぎり 前代の百王の治乱を心の中に懸けておいでだった。してみると天子には人民とちがう鏡があって 揚州で百度も鍊ったこの銅の鏡などではないのだ。
百鍊鏡(ひゃくれんきゃう) 鎔範(ようはん)は常規(じゃうき)にあらず 日辰(にっしん)と處所(しょしょ)と靈(れい)かつ寄(き)。江心波上(かうしんはじゃう) 舟中(しうちゅう)に鑄(い)る 五月五日(ごくわついつか) 日午(にちご)の時(とき)。瓊粉金膏(けいふんきんかう)もて磨瑩(まえい)し已(や)み 化(くわ)して一片(いつぺん)の秋潭(しうたん)の水(みつ)となる。鏡成(きゃうな)りてまさに蓬萊宮(ほうらいきゅう)に獻(けん)ぜんとし 揚州(やうしう)の長史(ちゃうし) 手(て)みづから封(ふう)ず。人間(にんげん)の臣妾(しんせふ)まさに照(てら)すべからず 背(せい)に九五飛天(きうごひてん)の龍(りょう)あり。人人(ひとびと)呼(よ)びて天子(てんし)の鏡(かがみ)どなす われ一言(いちげん)の太宗(たいそう)に聞(き)けるあり。太宗(たいそう)は常(つね)に人(ひと)をもって鏡(かがみ)となす 古(いにしへ)を鑑(かんが)み今(いま)を鑑(かんが)みて容(かたち)を鑑(かんが)みずと。四海(しかい)の安危(あんき) 掌内(しゃうだい)に居(お)き 百王(ひゃくくわう)の治亂(ちらん) 心中(しんちゅう)に懸(か)かる。すなはち知(し)る天子(てんし)には別(べつ)に鏡(かがみ)あるを これ揚州(やうしう)の百鍊(ひゃくれん)の銅(どう)ならず。 百鍊鏡 鎔範は常規にあらず 日辰と處所と靈かつ寄。江心波上 舟中に鑄る 五月五日 日午の時。瓊粉金膏もて磨瑩し已み 化して一片の秋潭の水となる。鏡成りてまさに蓬萊宮に獻ぜんとし 揚州の長史 手みづから封ず。人間の臣妾まさに照すべからず 背に九五飛天の龍あり。人人呼びて天子の鏡どなす われ一言の太宗に聞けるあり。太宗は常に人をもって鏡となす 古を鑑み今を鑑みて容を鑑みずと。四海の安危 掌内に居き 百王の治亂 心中に懸かる。すなはち知る天子には別に鏡あるを これ揚州の百鍊の銅ならず。 |