題名: | 賊平後送人北歸 |
作者: | 司空曙 |
世亂同南去,時清獨北還。他鄉生白髮,舊國見青山。曉月過殘壘,繁星宿故關。寒禽與衰草,處處伴愁顏。 | |
英譯: |
A world in turmoil—we came south together;
clear times—you return north alone.
In a strange country your hair turned white;
in your old land you'll see the blue hills,
by dawn moon passing ruined forts,
under crowding stars to rest by old frontiers,
cold birds and withered grasses
everywhere companion to your grieving eyes.
I CAME south with you in times of disorder; Now peace is restored, and you are off north alone. While here, your hair has begun to grizzle; At home you'll look on the blue mountains. You'll pass ruined forts while the moon still shines at dawn; You'l spend the night in some old pass On which the light of myriad stars glistens; shivering birds and withered grass! And your sad company will be 00 A world in turmoil— we came south together; clear times— you return north alone. In a strange country $(your)$ hair turned white; in $(your)$ old land you'll see the blue hills, by dawn moon passing ruined forts, under crowding stars to rest by old frontiers, cold birds and withered grasses everywhere companion to $(your)$ grieving eyes. |
日譯: |
世(よ)が乱(みだ)れて、ともに南方(なんぽう)にやって来(き)たが、時局(じきょく)がすっかり安定(あんてい)して、君(きみ)はひとり北(きた)の故郷(こきょう)に帰(かえ)ることとなった。異郷(いきょう)にあって君(きみ)も白髪(しらが)を生(しょう)じたが、故郷(こきょう)に帰(かえ)れば、そこには、もとのままに緑(みどり)の木々(きき)の茂(しげ)った山(やま)を見(み)ることができるであろう。
君(きみ)は、その途中(とちゅう)夜明(よあ)けの月(つき)の下(した)に、戦後(せんご)の荒(あ)れはてたとりでのあたりを通(とお)り過(す)ぎ、多(おお)くの星(ほし)の下(し)の、古(ふる)い宿駅(しゅくえき)に宿泊(しゅくはく)するのであろう。冬(ふゆ)の鳥(とり)と、枯(か)れおとろえた冬(ふゆ)の草(くさ)とが、いたるところで、旅愁(りょしゅう)に満(み)ちた君(きみ)の表情(ひょうじょう)につきまとって離(はな)れないのではなかろうか。
世が乱れて、ともに南方にやって来たが、時局がすっかり安定して、君はひとり北の故郷に帰ることとなった。異郷にあって君も白髪を生じたが、故郷に帰れば、そこには、もとのままに緑の木々の茂った山を見ることができるであろう。 君は、その途中夜明けの月の下に、戦後の荒れはてたとりでのあたりを通り過ぎ、多くの星の下の、古い宿駅に宿泊するのであろう。冬の鳥と、枯れおとろえた冬の草とが、いたるところで、旅愁に満ちた君の表情につきまとって離れないのではなかろうか。 世(よ)乱(みだ)れて 同(おな)じく南(みなみ)に去(さ)り、時(とき)清(きよ)くして 独(ひと)り北(きた)に還(かえ)る 他鄉(たきょう) 白髮(はくはつ)を生(しょう)じ、旧国(きゅうこく)青山(せいざん)を見(み)ん 暁月(きょうげつ) 残塁(ざんるい)を過(す)ぎ、繁星(はんせい) 故関(こかん)に宿(しゅく)す 寒禽(かんきん)衰草(すいそう)と、処処(しょしょ)、愁顏(しゅうがん)に伴(ともな)わん 世乱れて 同じく南に去り、時清くして 独り北に還る 他鄉 白髮を生じ、旧国青山を見ん 暁月 残塁を過ぎ、繁星 故関に宿す 寒禽衰草と、処処、愁顏に伴わん 世が乱れてともに南にのがれたが 世が治まって君はひとり北に帰る 他郷にあって君もいつか白髪を生じたが 今故郷にかえれば青山はもとのままの姿であろう あれたとりで あかつき残月を戴いて荒塁をすぎ 星降る夜に入って古い関所の宿に泊まり 寒々とした鳥の声 うら枯れた道の草 到る処旅愁にくもる君の眼に 佗しくも映ることであろうか 世(よ)乱(みだ)れて同じく南に去(さ)り 時(とき)清(きよ)くして独り北に還(かえ)る 他鄉(たきょう) 白髮(はくはつ)を生(しょう)じ 旧国 青山(せいざん)を見る 暁月(きょうげつ) 残塁(ざんるい)を過ぎ 繁星(はんせい) 故関(こかん)に宿(しゅく)す 寒禽(かんきん)衰草(すいそう) 処処(しょしょ) 愁顏(しゅうがん)に伴(ともな)わん 世乱れて同じく南に去り 時清くして独り北に還る 他鄉 白髮を生じ 旧国 青山を見る 暁月 残塁を過ぎ 繁星 故関に宿す 寒禽衰草 処処 愁顏に伴わん |