題名: | 幸蜀西至劒門 |
作者: | 明皇帝 |
劒閣橫雲峻,鑾輿出狩回。翠屏千仞合,丹嶂五丁開。灌木縈旗轉,仙雲拂馬來。乘時方在德,嗟爾勒銘才。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
劍閣(けんかく) 雲(くも)に横(よこたな)って峻(けな)し。
鑾輿(らんよ) 出狩(しゅっしゅ)して囘(めぐ)る。
翠屏(すゐへい) 千仞合(せんじんがつ)し、
丹嶂(たんしゃう) 五丁開(ごていひら)く。
灌木(くわんぼく) 旗(はた)を縈(めぐ)って轉(てん)じ、
仙雲(せんうん) 馬(うま)を拂(はら)って來(きた)る。
時(とき)に乘(じょう)ずるは方(まさ)に德(とく)に在(あ)り。
嗟爾(さじ)す 勒銘(ろくめい)の才(さい)。
劍閣 雲に横って峻し。 鑾輿 出狩して囘る。 翠屏 千仞合し、 丹嶂 五丁開く。 灌木 旗を縈って轉じ、 仙雲 馬を拂って來る。 時に乘ずるは方に德に在り。 嗟爾す 勒銘の才。 蜀べおもむくことになって、旅の日取りをかさね、音に聞こえた剣鬥にまでやってきた。雨岸が屹立するところを、石を掘りぬいて閣をつくり棧道が架してあり、雲が湧きたつなかに高くそびえた、そのけわしさ!地方巡察の天子の行列は肅々として そこを練って行く。翠色の屏風のような絶壁は千仞もあるのが、兩方から相合して門のように見える。ここまできたところは、昔、蜀王が五人の力士に命じて赤い岩の連峯を切り開かせた道であった。群木立はつぎつきと旗指物をめぐって移ってゆき、めでたい雲は進んでゆく馬をはらってやってくる。まことに要害堅固の地勢ということができるが、しかし時運に乗じて天下を治めるということは、じつに王者の徳にあるのであって、險岨な山川など頼みになるものではない。ここで思い出されるのは、晋の張載の「劍閣の銘」にある「興るは賞に在にり、險もまた恃み難し」という文句 である。ああ、その才能識見は感嘆するにあまりがあるではないか。 |