題名: | 贈闕下裴舍人 |
作者: | 錢起 |
二月黃鶯飛上林,春城紫禁曉陰陰。長樂鐘聲花外盡,龍池柳色雨中深。陽和不散窮途恨,霄漢長懷捧日新。獻賦十年猶未遇,羞將白髮對華簪。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
うららかな春も半ば
上林苑には黃鸝飛び
紫禁城の春のあけぼのは
まだほの暗く静まっている
長楽宮の鐘の音は
花の彼方に消えてゆき
竜池のほとりの柳の色は
雨にぬれてひとしお深い
このうららかな春の気も
窮途にある私の恨みを晴らしてはくれぬが
心はいつも雲井を仰いで
一片忠誠の念を失わぬ
賦を献じてすでに十年
今尚登用の機会に恵まれず
いつか白髪となった身で
簪も華やかな
君に対して恥ずかしく思う
二月 黃鸝(こうり)上林に飛ぶ 春城紫禁(しきん) 暁(あかつき)に陰陰(いんいん) 長楽(ちょうらく)の鐘声(しょうせい) 花外に尽き 竜池(りょうち)の柳色 雨中に深し 陽和( ようわ) 窮途の恨(うら)みを散ぜざるも 霄漢(しょうかん) 常に捧日(ほうじつ)の心を懸(か)く 賦(ふ)を献じて十年 猶(なお)未(いま)だ遇(あ)わず 羞(は)ずらくは白髪を将(もっ)て華簪(かしん)に対するを 二月 黃鸝(こうり)上林に飛ぶ 春城紫禁(しきん) 暁(あかつき)に陰陰(いんいん) 長楽の鐘声 花外に尽き 竜池の柳色 雨中に深し 陽和 窮途の恨みを散ぜざるも 霄漢 常に捧日の心を懸く 賦を献じて十年 猶未だ遇わず 羞ずらくは白髪を将て華簪に対するを 陰暦の二月春のさかりに、ちょうせんうぐいすが漢代の上林苑ともいうべき御苑に飛んで、春の都長安の天子の宮殿は、夜明けの時刻に、うす暗く静まりかえっているであろう。僕の長楽宮にも比すべき王宮の鐘の音は、咲き続く巻の花のはるか彼方にまでとどいて消え、竜池のほとりの柳の新緑は、雨に洗われていよいよ深い色を見せていよう。 こののどかな春の気候も、わたしの仕官できぬ困窮の境遇にある嘆きを解消してはくれないが、それでもなお、わたしは大空に向かって太陽を捧げ持つ朝廷への忠誠心を、いつもかかげ続けている。賦を献じて科挙に応じてから、すでに十年、いまなお不遇であり続けている。そして恥ずかしいことは、白髪の身で、りっぱな高官であるあなたに向かいあわねばならないことだ。 二月(にがつ) 黄鸝(こうり) 上林(じょうりん)に飛(と)び 春城(しゅんじょう) 紫禁(しきん) 暁(あかつき)に陰陰(いんいん)たらん 長楽(ちょうらく)の鐘声(しょうせい) 花外(かがい)に尽(つ)き 竜池(りょうち)の柳色(りゅうしょく) 雨中(うちゅう)に深(ふか)からん 陽和(ようわ)も散(さん)ぜず 窮途(きゅうと)の恨(うら)みを 霄漢(しょうかん)常(つね)に懸(か)く 捧日(ほうじつ)の心(こころ) 賦(ふ)を献(けん)じて十年(じゅうねん) 猶(な)お未(いま)だ遇(あ)わず 羞(は)ずらくは白髪(はくはつ)を将(もっ)て華簪(かしん)に対(たい)するを 二月 黄鸝 上林に飛び 春城 紫禁 暁に陰陰たらん 長楽の鐘声 花外に尽き 竜池の柳色 雨中に深からん 陽和も散ぜず 窮途の恨みを 霄漢常に懸く 捧日の心 賦を献じて十年 猶お未だ遇わず 羞ずらくは白髪を将て華簪に対するを 春もなかば、うぐいすが上林苑に飛びかい、宮城の御殿のあたりは夜明けのもやで薄暗くかすんでいる。長樂宮からひびいてくる鐘の音は花のこずえのかなたに消えてゆき、龍池のほとりの柳の色は雨のなかで綠が深くなってけむっている。 こんなにめでたい春景色だけれど、世わたりに行きつまったわたしの苦しさを軽くしてはくれない。それでも雲井の空にむかって、いつも日を捧げる忠誠の心を抱いて いる。むかしの司馬相如とはちがって賦を獻上しても、いっこうに召し出されることもなく、まだ不遇な身の上、いつか白髪になったこの頭で、冠にりっぱなかんさしをおつけになったあなたにお逢いすることは、まことにはずかしい。 二月(にぐわつ) 黃鸝(くわうり)上林(じゃうりん)に飛(と)び 春城(しゅんじゃう) 紫禁(しきん) 曉(あかつき)に陰陰(いんいん)。 長楽(ちゃうらく)の鐘聲(しょうせい)、花外(くわぐわい)に盡(つ)き、 龍池(りょうち)の柳色(りうしょく)、雨中(うちゅう)に深(ふか)し。 陽和(やうわ)も散(さん)ぜず 窮途(きゅうと)の恨(うらみ)。 霄漢(せんかん) 長(なが)く懸(か)く 日(ひ)を捧(ささ)ぐる心(こころ)。 賦(ふ)を獻(けん)じて十年(じふねん) 猶(なほ)未(いま)だ遇(あ)はず。 羞(は)づらくは白髪(はくはつ)を將(も)って華簪(くわしん)に對(たい)するを。 二月 黃鸝上林に飛び 春城 紫禁 曉に陰陰。 長楽の鐘聲、花外に盡き、 龍池の柳色、雨中に深し。 陽和も散ぜず 窮途の恨。 霄漢 長く懸く 日を捧ぐる心。 賦獻じて十年 猶未だ遇はず。 羞づらくは白髪を將って華簪に對するを。 |