題名: | 別房太尉墓 |
作者: | 杜甫 |
他鄉復行役,駐馬別孤墳。近淚無乾土,低空有斷雲。對碁陪謝傅,把劒覓徐君。唯見林花落,鸎啼送客聞。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
他郷(たきょう)の閬州(ろうしゅう)にあるわが身(み)は、今(いま)また同(おな)じ他郷(たきょう)の成都(せいと)への旅(たび)に出(で)ようとして、馬(うま)を房太尉の孤独(こどく)でさびしい墓(はか)にとどめて別(わか)れを告(つ)げようとする。墓(はか)に近(ちか)づいて流(なが)すなみだのために、墓(はか)のほとりに乾(かわ)いた土(つち)はなくなり、低(ひく)い空(そら)には、ちぎれ雲(くも)がただよっている。
思(おも)えば、わたしはかつて晋(しん)の謝太傳にも比(ひ)すべき、生前(せいぜん)の房太尉に陪席(ばいせき)して、碁(ご)のお相手(あいて)をしたことがある。今(いま)、その死後(しご)に墓(はか)をとむらい、春秋時代(しゅんじゅうじだい)の呉(くれ)の季札(きさつ)が、徐君(じょくん)の墓(はか)に剣(けん)を供(そろ)えて働哭(どうこく)して去(さ)ったのと同(おな)じく悲(かな)しみの情(なさけ)にたえない。ただ、ここには、林(はやし)に咲(さ)く花(はな)の落(お)ちるのが見(み)え、旅人(たびびと)であるわたしを送(おく)るかのように鳴(な)くうぐいすの声(こえ)が、聞(き)こえてくるばかりなのだ。
他郷の閬州にあるわが身は、今また同じ他郷の成都への旅に出ようとして、馬を房太尉の孤独でさびしい墓にとどめて別れを告げようとする。墓に近づいて流すなみだのために、墓のほとりに乾いた土はなくなり、低い空には、ちぎれ雲がただよっている。 思えば、わたしはかつて晋の謝太傳にも比すべき、生前の房太尉に陪席して、碁のお相手をしたことがある。今、その死後に墓をとむらい、春秋時代の呉の季札が、徐君の墓に剣を供えて働哭して去ったのと同じく悲しみの情にたえない。ただ、ここには、林に咲く花の落ちるのが見え、旅人であるわたしを送るかのように鳴くうぐいすの声が、聞こえてくるばかりなのだ。 他鄉(たきょう) 復(ま)た行役(こうえき)せんとし、馬(うま)を駐(とど)めて 孤墳(こふん)に別(わか)る 近淚(きんるい) 乾土(かんど)無(な)く、低空(ていくう)断雲(だんうん)有(あ)り 碁(ご)に対(たい)して 謝傅(しゃふ)に陪(ばい)し、剣(けん)を把(と)りて 徐君(じょくん)を覓(もと)む 唯(た)だ林花(りんか)の落(お)つるを見(み)、鶯(うぐひす)啼(な)きて 客(かく)を送(おく)るを聞(き)くのみ 他鄉 復た行役せんとし、馬を駐めて 孤墳に別る 近淚 乾土無く、低空断雲有り 碁に対して 謝傅に陪し、剣を把りて 徐君を覓む 唯だ林花の落つるを見、鶯啼きて 客を送るを聞くのみ 他郷に在る身の又旅に出ようとして 馬を駐めておん墓に別れを告げる おん墓によりそうて涙は土をうるおし 空は低くたれてちぎれ雲とぶ 在りし日はかの謝太傳のもとの客のように あなたに陪して碁を囲んだこともあった 今や私は昔徐君の墓に剣をかけて去った 呉の季礼のように 太尉の基前に面影を求めて働哭する 別れてゆこうとすれば 林の花が淋しく散り 鶯の啼く音が旅ゆく私を送るばかり 他鄉(たきょう) 復(また)行役(こうえき)せんとし 馬を駐(とど)めて孤墳(こふん)に別る 近淚(きんるい) 乾土(かんど)無く 低空(ていくう) 断雲(だんうん)有り 棋(き)に対(たい)して謝傅(しゃふ)に陪(ばい)し 剣(けん)を把(と)って徐君(じょくん)を覓(もと)む 唯(ただただ)林花(りんか)の落つるを見(み) 鶯(うぐひす)啼(な)いて客を送るを聞く 他鄉 復行役せんとし 馬を駐めて孤墳に別る 近淚 乾土無く 低空 断雲有り 棋に対して謝傅に陪し 剣を把って徐君を覓む 唯林花の落つるを見 鶯啼いて客を送るを聞く |