題名: | 王閬州筵奉酬十一舅惜別之作 |
作者: | 杜甫 |
萬壑樹聲滿,千崖秋氣高。浮舟出郡郭,別酒寄江濤。良會不復久,此生何太勞。窮愁但有骨,羣盜尚如毛。吾舅惜分手,使君寒贈袍。沙頭暮黃鴣,失侶自哀號。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
谷という谷には落葉する木々の風音がひびき、崖のそそりたつところにはどこにも秋のつめたい氣が高く澄んでいる。わたしがここを立ち去るので、長官の好意で送別の宴が舟の上でもよおされた。閬州の町からこぎ出して、別れの盃をくみかわすも波の上。嘉陵江の水は滔々と流れている。こんな心あたたまる良會も、ほんのつかのまで別れなければならない。この世というものは、なんと苦勞が滿ち滿ちていることか。 わたしも長年の困窮と氣苦勞のために、やせ衰えて骨と皮というようなでいたらぐである。まだ天下には安史の殘黨がはびこり、各地には新手の叛亂が跡をたたず、吐蕃は國内にまで侵入してくるありさまで、旅に出るといっても決してのんきにかまえることはできない。叔父上も別れともない気持ちで「別れを惜しむ」詩を詠んでくださった。王長官からは、これから寒さに向かぅ季節なので、綿入れの上着を餞別におくられた。
ふと見わたせば、汀の砂のあたりに、夕ぐれどき、黄色い鶴が仲間はずれになって、たった一羽かなしそうに鳴いている。これから一人とりのこされるわが身によく似た姿ではないか。
萬壑(ばんがく) 樹聲(じゅうせい)滿(み)ち、千崖(せんがい) 秋氣(しうき)高(たか)し。浮舟(ふしう) 郡郭(ぐんくわく)を出(い)で、別酒(べつしゅ) 江濤(かうたう)に寄(よ)す。此(こ)の生(せい) 何(なん)ぞ太(はなな)だ勞(らう)せる。窮愁(きゅうしう)但(ただ)骨(ほね)有(あ)り。群盜(ぐんたう)尚(なほ)毛(け)の如(ごと)し。吾(わ)が舅(きう) 手(て)を分(わか)つことを惜(を)しむ。使君(しくん) 寒(さむ)さに袍(はう)を贈(おく)らる。沙頭(さとう) 幕(くれ)の黄鶴(くわうかう) 侶(とも)を失(うしな)って亦(また)哀(あい)號(がう)す。 萬壑 樹聲滿ち、千崖 秋氣高し。浮舟 郡郭を出で、別酒 江濤に寄す。此の生 何ぞ太だ勞せる。窮愁但有骨有り。群盜尚毛の如し。吾が舅 手を分つことを惜しむ。使君 寒さに袍を贈らる。沙頭 幕の黄鶴 侶を失って亦哀號す。 |