題名: | 宣政殿退朝晚出左掖 |
作者: | 杜甫 |
天門日射黃金牓,春殿晴曛赤羽旗。宮草微微承委佩,鑪煙細細駐遊絲。雲近蓬萊常好色,雪殘鳷鵲亦多時。侍臣緩步歸青瑣,退食從容出每遲。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
御殿の門には日の光がさして、額の金文字がきらきら輝いている。春の日の空は晴れわたっているが、かかげられた朱雀の御旗に夕暮れがせまって陰影がひだをとっている。お庭にいちめん萌えいでた草はやわらかくにおやかで、うやうやしく腰をかがめると、地に垂れた佩玉がそのうえにそっと觸れる。大香爐からたちのぼる香の煙がほそぼそとたゆとうて、空中に浮かぶいとゆうともつれあって見える。
この蓬萊宮の上には絶えずめでたい太平の象とたたうられる五色の雲がたなびいている。あちれの高い御殿の一角には残んの雪が白く目につく。まだ暫くはあのままだろう。
自分の地位は低いけれども君側に侍することができる身分だ。宣政殿をさがって、ゆるゆると歩いて青く塗った扉のついた門下省にいちおぅ歸りついて後始末をする。
さて、いよいよ歸宅となってもどうも、おっとり落着いているので、退出するのがいつもおそくなる。
天門(てんもん) 日(ひ)は射(い)る 黄金(わうごん)の榜(ばう)。 春殿(しゅんでん) 晴曛(せいくん) 赤羽(せきう)の旗(はた)。 宮草(きゅうさう)霏霏(ひひ)として委珮(いはい)を承(う)け、 爐煙(ろえん)細細(さいさい)として游絲(いうし)を駐(とど)む。 雲は蓬萊(ほうらい)に近(ちか)うして常(つね)に五色(ごしょく)。 雪(ゆき)は鳷鵲(しじゃく)に殘(のこ)りてが亦(また)多時(たじ)。 侍臣(じしん)緩步(くわんぼ)して青瑣(せいさ)に歸(かへ)る。 退食(たいしょく) 從容(しょうよう)として出(い)づること每(つね)に遲(おそ)し。 天門 日は射る 黄金の榜。 春殿 晴曛 赤羽の旗。 宮草霏霏として委珮を承け、 爐煙細細として游絲を駐む。 雲は蓬萊に近うして常に五色。 雪は鳷鵲に殘りてが亦多時。 侍臣緩步して青瑣に歸る。 退食 從容として出づること每に遲し。 |