題名: | 題張氏隱居二首 一 |
作者: | 杜甫 |
春山無伴獨相求,伐木丁丁山更幽。澗道餘寒歷冰雪,石門斜日到林丘。不貪夜識金銀氣,遠害朝看糜鹿遊。乘興杳然迷出處,對君疑是泛虛舟。 | |
英譯: | 暫無英譯內容 |
日譯: |
春の山を、道づれもなく、たったひとりで張氏の隱宅を尋ねてゆく。木を伐る音が チョーン、チョーンと響いてきて、かえって山の靜けさをいっそう奥深くしている。 谷川ぞいの道にまだ寒さがただようているところを、氷りついた残りの雪を踏んで、 石門山に日あしが傾くころ林のある小高い丘に達した。
君は無慾恬淡で貪ぼる氣がないから、萬物の静まった夜など地下に埋もれた金銀の山に隠れ、無心の境地にいられるので鹿なども恐れず近づいてきて遊ぶのが見られる。わたしもここへやって來て、興に乘ずるままに、心もほのかに遠くなって、さてこれから出てゆくべきか、じっと、とどまっているべきか、どうしたらよいのかわからなくなった。君とむかいあっていると、君こそは、まるで莊子のいわゆる空船のようにおのれを空しうして世に處している達人ではあるまいかと思われてきた。
春山(しゅんざん)伴(はん)無(な)く 獨(ひと)り相求(あひもと)む。 伐木(ばつぼく)丁丁(たうたう)として山(やま)更(さら)に幽(いう)なり。 澗道(かんだう)の餘寒(よかん) 冰雪(ひょうせつ)を歷(へ) 石門(せきもん)の斜日(しゃじつ) 林丘(りんきう)に到(いた)る。 貪(むさぶ)らずして 夜(よる) 金銀(きんぎん)の氣(き)を識(し)り、 害(がい)に遠(とほざ)かって 朝(あした)に麋鹿(びろく)の遊(あそ)ぶを看(み)る。 興(きょう)に乗(じょう)じて杳然(えうぜん)として出處(しゅつしょ)に迷(まよ)ふ。 君(きみ)に對(たい)して 疑(うたが)ふらくは是(こ)れ虚舟(きょしう)を泛(うか)ぶるかと。 春山伴無く 獨り相求む。 伐木丁丁として山更に幽なり。 澗道の餘寒 冰雪を歷 石門の斜日 林丘に到る。 貪らずして 夜 金銀の氣を識り、 害に遠かって 朝に麋鹿の遊ぶを看る。 興に乗じて杳然として出處に迷ふ。 君に對して 疑ふらくは是れ虚舟を泛ぶるかと。 |